人気ブログランキング | 話題のタグを見る

追加金融対策 対症療法では効果薄い

2010年8月31日 09時42分






 政府と日銀は30日、急激な円高に対応する経済、金融対策を発表した。ようやく打ち出した対策だが予想された範囲にとどまり、市場の反応は冷ややかだ。新たな経済成長路線を打ち出せない民主党政権の弱さが指摘されそうだ。

 日銀の金融緩和策は、超低金利で資金を貸し出す「新型オペ」の追加措置が中心で、金融市場に金利ほぼゼロの資金を多量に供給することで円安を誘発するものだ。昨年12月と今年3月にそれぞれ10兆円(固定金利0・1%、3カ月物)を供給、今回も10兆円(6カ月物)の資金供給を行う。市場金利を一段と低下させ、企業や金融機関が長めの資金を調達しやすくした。

 政府も急きょ、経済関係閣僚委員会を開き、経済対策の基本方針を決定した。円高で打撃を受けている中小企業を支援する雇用安定化対策を拡充する。日銀の金融緩和策と連動し、為替介入も辞さないとの姿勢をアピールすることで円買いをけん制する。

 ようやく出た経済、金融策だが、効果は限定的だった。新たな金融緩和への期待感から同日午前中の東京外国為替市場は円ドル相場が1ドル=85円台で推移、円安方向に振れた。しかし発表が事前報道を上回る内容では無かったことから、円の買い戻しが広がり、午後には84円72銭近辺まで戻した。政府、日銀の経済、金融対策に市場の評価はいまひとつだ。

 さらに今週末に予定される米国の雇用統計の中身次第では、米国の景況感が一層悪化し、ドル売り円買いが膨らむ可能性も指摘されている。

 今回の円高は15年ぶりの高水準で、史上最高の1ドル=79円台が視野に入ってくるとの観測もある。

 円高で海外旅行のお得感が広がると、沖縄観光は打撃を受ける。一方、県内製造業の大半を占める食料品製造が小麦など原材料の輸入価格引き下げで円高メリットを受ける。また原油や天然ガスなど燃料価格も下がるため、今秋の電力、ガス料金の引き下げも期待される。

 幾度となく円高を乗り切った日本経済はその都度、環境に順応し進化してきた。すでに海外に工場を移した企業は今回も部品を現地調達に切り替えたり、海外市場で製品の値上げに踏み切るなど、円高ショックを和らげようと対策をとっている。

 企業が海外進出を考えたり、事業を拡大するチャンスにもなる。また個人投資家による海外での口座開設がすでに増えているかもしれない。そんなプラス思考も大切だ。

 米国の景気後退、ギリシャ財政危機による欧州連合のユーロ安が円高の背景にある。日本がひとり対策を練っても焼け石に水の情勢だろう。

 政府は国際社会に共同歩調を呼び掛ける必要がある。同時に内需を刺激する思い切った規制緩和策など抜本的な経済対策を打ち出すべきだ。日銀に追加対策を迫っても効果が限定的だと返って悪影響をもたらす。

 菅首相は目前の党首選に目を奪われてはいないか。与党内の主導権争いに景気対策を使われては困る。






沖縄タイムス

by exjwq9 | 2010-09-05 13:56  

<< 唐田えりかもあきれた…東出昌大... 広がる所得格差 貧困対策は待ったなし >>