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[公約点検 参院選]消費増税 将来不安なくす道探れ


2010年6月19日 09時55分





 政権与党の民主党と最大野党の自民党が、参院選のマニフェスト(政権公約)で、そろって消費税率の引き上げ方針を掲げた。


 消費増税という不人気政策を公約に掲げることは、選挙に不利だと見られ、長いことタブー視されてきた。実際、自民党は、消費税を導入した年の参院選で惨敗し、税率を3%から現行の5%に引き上げた翌年の参院選でも大敗した苦い経験がある。昨年8月の衆院選で民主党が「無駄の削減が先だ」と増税論議を避けたのは、端的に言えば、選挙に勝つための、政権交代を実現するための、戦術であった。


 それが、どうだ。参院選を前にして、民・自の二大政党が、正面から消費増税を公約として掲げたのである。民主党はマニフェストで「消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始する」と明記した。自民党は10%の税率引き上げを掲げるとともに、福祉目的税化や低所得者への配慮など具体的な実施方針を打ち出した。これを受けて菅直人首相は「自民党が提案している10%を一つの参考としたい」と明言、参院選後に自民党に協議を呼びかける考えを示した。基本姿勢の大きな転換である。


 マスコミ各社の世論調査で、税率引き上げに肯定的な意見が50%を超えるなど、有権者の意識は確かに変わりつつある。ギリシャの例に見られるように、財政破(は)綻(たん)への強い危機意識が菅首相の背中を押したのかもしれない。


 消費税論議をいつまでも避け続けることはできない。消費税を現行のまま据え置いて、この先、果たして医療・介護・年金などの社会保障制度を維持することができるのかどうか。議論を始めるべきときにきている。


 ただし、本格的な議論を始めるにあたっては、幾つかの前提がある。


 民主党は昨年、衆院議員の4年間の任期中は消費税を上げないことを公約に掲げ政権交代を実現した。国民の信を問うことなく任期中に消費増税を実施することは、有権者への裏切りであり、あってはならないことだ。


 第二の前提は、社会保障制度改革との一体的な議論が必要だということである。今、日本の政治が取り組むべき最も大きな課題は、国民の将来不安を解消することだ。消費増税によって将来不安がいっそう高まるようでは、マイナスだ。


 税制の抜本改革の中で消費税を議論することも重要だ。


「大企業減税を消費税の引き上げで穴埋めし、社会保障費は抑制路線。庶民を痛めつける以外のなにものでもない」(志位和夫・共産党委員長)と指摘されるような消費増税では、理解は得られないだろう。


 行政の無駄を徹底して洗い出し、官僚の天下りにメスを入れていく作業も、増税論議の前提だ。聖域を設けずに、「思いやり予算」などの分野にも切り込んでいく姿勢がなければ、消費増税は受け入れられないだろう。






沖縄タイムス

by exjwq9 | 2010-06-20 06:12  

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