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小沢VS反小沢 不毛な争いに終止符を


2010年6月6日 09時55分






 民主党の権力構造が大きく変わろうとしている。一言で言えば、「小沢依存」から「脱小沢」への変化だ。

 明治維新が大政奉還だけでは終わらず、その後さまざまな制度改革が必要だったように、平成維新も、自民党から民主党への政権交代だけで終わったわけではない。

 鳩山政権の8カ月は、自民党政権時代の古い政治を随所に引きずっていた。政治とカネの問題はその典型だ。官僚政治からの脱却という基本政策も、改革に伴う混乱だけが目立ち、まだ十分な成果を上げていない。

 菅直人新首相の下で政権交代第2幕の改革をスタートさせるにあたって避けて通れないのが「小沢問題」である。

 鳩山由紀夫首相は、政治とカネの問題で小沢一郎幹事長をかばい続けてきた。首相が態度を変えたのは、党側から「参院選を戦えない」と辞任を求められたからだ。

 鳩山氏は「私も辞めるが、幹事長も身を引いていただきたい」と、面と向かって幹事長の辞任を求めた。道連れ辞任によるクリーンな民主党の再生―それが鳩山氏の最後のメッセージだった。

 菅新首相は、この呼びかけにこたえ、脱小沢路線を鮮明に打ち出した。代表選の立候補会見で小沢氏に対し、「しばらくは静かにしていただいたほうがいい」と明言したのだ。党内の権力構造の変化を示す発言だった。

 党役員人事、閣僚人事で脱小沢路線をどう具体化するのか。挙党体制を求める声をどう人事に反映させるのか。菅新首相は就任早々、重大な判断を迫られている。

 「政治とは何か」との問いに対し、ドイツの社会学者マックス・ウェーバーはこう答えている。「権力の分け前にあずかり、権力の配分関係に影響を及ぼそうとする努力である」

 政権獲得をめぐる政党間の激しい争いだけでなく、権力闘争は政党内部においても日々、熾(し)烈(れつ)だ。政権与党の場合、政策決定過程に直接かかわることができるだけに、なおさらである。

 自民党が長期単独政権を維持していた時代、総裁の座をめぐる党内の権力闘争は熾烈を極めた。田中角栄、福田赳夫両氏の、派閥ぐるみの権力闘争は語り草になっている。

 民主党内においては政権交代前から「小沢グループ」と「反小沢グループ」の対立が続いている。自民党の昔の派閥抗争と異なるのは、小沢氏個人をめぐって感情と政策がからみ合った陰気な対立が続いていることだ。

 党内で権力闘争をやるのは勝手だが、「小沢グループ」と「反小沢グループ」の争いはどう見ても生産的でない。国民不在の権力闘争によって、政策そのものがゆがめられてはいないか。それが心配だ。

 菅新首相の誕生は、不毛な争いに終止符を打つ絶好の機会である。

 両陣営の対立が拡大し、9月の民主党代表選に向け分裂含みの状況が生まれるのか。それとも政権交代が「新しい政治」を生み出すのか。民主党は大きな岐路に立っている。






沖縄タイムス 社説
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by exjwq9 | 2010-06-06 16:38  

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