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党首討論 やっと真剣になってきた


 やればできるじゃないか。9日、国会で行われた福田康夫首相と小沢一郎民主党代表との党首討論である。気の抜けたビールのようだった前回の討論とは打って変わって、双方の主張には真剣さが感じられた。

 昨年9月の福田政権発足後、党首討論は今年1月に次いで2回目。揮発油(ガソリン)税の暫定税率期限切れと道路特定財源の一般財源化問題、宙に浮く年金記録問題、そして日銀総裁・副総裁人事。国民生活に直結する課題が与野党対立のテーマになっており、党首討論への国民の関心は高かった。

 討論では、小沢氏が一般財源化問題への政府・与党の対応に力点を置き、「政府・与党で正式に決めるのか」と詰め寄った。一方、首相は日銀人事への民主党の3度の不同意を取り上げ、「人事権の乱用ですよ」と声を荒らげた。

 「おとぼけ」「ひょうひょう」イメージが定着している首相と、「口べた」を自認する小沢氏。1月は、昨年来の「自・民両党の大連立構想」に一切触れず、肩すかしに終わった。今回、真剣モードに転換した背景には、2人の置かれている政治状況の変化がある。首相と小沢氏が進めようとした大連立構想が頓挫して5カ月。民主党は福田政権への対決姿勢に転じている。

 首相は内閣支持率の低落が止まらず、毎日新聞の調査では24%と政権の「危険水域」に入りつつある。今後の政権運営を危ぶむ声は与党内にも出始めている。この時期に毅然(きぜん)とした姿勢を国民にアピールする必要性を感じたようだ。

 一方の小沢氏は、大連立構想に続き、今回の日銀人事で造反者を出すなど党内の求心力低下が指摘されている。公開の場で福田政権への対決姿勢を強調することは党内の立場を強化すると同時に、民主党支持の拡大に結びつくと考えたとしても不思議でない。

 今回のような熱のこもった討論を今後も期待したいが、注文もある。

 党首討論は正式に衆参両院の国家基本政策委員会合同審査会として開始された00年2月から数えて44回目となる。本会議や委員会審議と違って首相が野党党首に質問することもでき、互いが政権論を含めて意見を戦わせる数少ない機会だ。

 ところが、福田政権発足から半年以上が経過してやっと2回目。あまりに少ない。衆参のねじれ国会だからこそ、わが国の行方に責任を持つ、各院の多数党の代表が公開の場で丁々発止の論争を繰り広げることを期待している国民は多い。

 政党イメージを形成するにあたって党首の言動の果たす役割が増しているのは間違いない。有権者は党首の言葉を通じて、政治現象と政策の判断材料、視点を得ることができる。両党首の国民への説明力が試されている。もっと頻繁な討論を実現してもらいたい。




毎日新聞 2008年4月10日 東京朝刊

by exjwq9 | 2008-04-10 22:45  

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