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軍用地跡利用 国の責任もっと明確に

2010年7月22日 09時26分





 県と関係市町村は、米軍用地の跡地利用に関する新たな法制度の制定に向け、「基本的考え」を了承した。

 駐留軍用地特別措置法(軍転特措法)と、大規模跡地利用に関する条文を盛り込んだ沖縄振興特別措置法(沖振法)は、いずれも2012年3月末に期限切れを迎える。返還軍用地の跡地利用を進めるためには、現行法制度の課題と問題点を踏まえた新たな法制度がどうしても必要である。

 どのような法制度が望ましいのか。なによりも大切なのは、国の責任を明確にすることだ。それが基本であり、出発点である。

 現行の沖振法は95条の「基本原則」の中で「国、沖縄県及び跡地関係市町村は、跡地の有効かつ適切な利用を促進するよう努めなければならない」とうたっている。国、県、市町村の責任を並列化した文言だ。この基本原則に基づいて96条に「国の責務」、97条に「地方公共団体の責務」を掲げ、それぞれの役割を明記している。

 「国の責務」として、必要な財政上の措置などを掲げてはいるものの、条文を読む限り、国の責任を明確にした法律とは言い難い。

 20日の会議で了承された「基本的考え」は、「基地跡地の適切な利用は、日米安保条約に基づく基地提供義務と対をなす国の責務である」と明確に指摘している。

 「跡地利用の推進は長年、基地を提供してきた国の責務として行われるべきである」との県の基本姿勢は、沖縄にとって譲れない一線である。

 米軍基地の返還はこれまで、那覇新都心がそうであったように、こまぎれ返還が多く、跡利用が完了するまでに相当の歳月を要した。

 恩納通信所やキャンプ桑江北側の軍用地は有害物質の処理に手間取り、跡利用が大幅に遅れた。

 埋蔵文化財調査や環境調査のための基地立ち入り、汚染土壌の原状回復措置の徹底、給付金制度の見直しは欠かせない。

 嘉手納基地よりも南に位置する六つの米軍基地の返還・跡利用は、「基本的考え」が指摘するように、「県土構造の再編にもつながる大きなインパクトをもっている」。沖縄の将来像を左右すると言ってもいいような、前例のない一大事業だ。

 はっきり言って県や市町村でできる代物ではない。国の責任で事業主体を確立し、国費で事業を実施する仕組みをつくる―そのための特別立法が必要だ。

 今後返還が予定されている基地の跡利用は、繰り返しになるが、21世紀沖縄の一大プロジェクトになるはずであり、その果実を享受するのは次の世代だ。

 次の世代にどのような沖縄を引き継ぐのか。県民の構想力も問われる。

 懸念されるのは、新たな法制度の制定が、普天間飛行場の辺野古移設と引き換えになるおそれがあることである。政府がそうやって地元を揺さぶるのは目に見えている。対抗の論理をどう築くかも大きな課題だ。






沖縄タイムス

by exjwq9 | 2010-07-25 13:41  

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