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中台経済協定 沖縄もチャンス生かせ


2010年7月1日




 中国と台湾が自由貿易協定(FTA)となる「経済協力枠組み協定(ECFA)」に調印した。中台経済の一体化がさらに強まる。1949年の中台分断以来、初めてとなる包括的協定締結は、北東アジアの緊張緩和を加速し、平和と安定にも大きく寄与する。歓迎したい。


 経済的な相互依存の高まりには、中台間の政治・軍事的対立を緩和する効果も見込める。96年の台湾総統選で、中国軍が与那国島近海にミサイルを放ち、台湾独立派に露骨な軍事的圧力をかけたころと隔世の感を覚える。中台の軍事的緊張を駐留根拠の一つに挙げ続けてきた在沖米軍を削減できる環境がまた一歩整った。


 ECFAは、中国側が539、台湾側が267の品目について2011年1月から2年間かけて関税をゼロにする。それ以外の貿易品目についても関税撤廃協議を続け、最終的には自由貿易地域を目指す。金融やサービス分野の開放も進めていく。東南アジアでは、東南アジア諸国連合(ASEAN)を軸にした自由貿易圏の形成が進んでいるが、ECFAは遅れていた北東アジアで初めての枠組みとなる。


 08年の国民党政権発足以来、台湾は政治的な対立を避け、中国との経済的結び付きを強めてきた。中台間を結ぶ航空便は週に約270便、年間の船舶の行き来は1万3千隻に上る。台湾の総輸出額の約4割は中国向けで、国民2300万人のうち約100万人が中国に常駐するまでになっている。将来的な政治統一をにらむ中国はECFAで台湾に大幅譲歩した。中国産農産物の輸出を禁じ、台湾の労働力市場は開放しなかった。


 対中貿易のライバル・台湾をにらみ、韓国は中韓自由貿易協定の締結を目指す動きを強めているが、日本は出遅れている。政府の新成長戦略は「アジア大平洋自由貿易圏」を目指している。中台との交易促進に向けた取り組みを強化すべきである。


 北東アジアで経済のグローバル化が進み、歴史的に中台双方から親近感を持たれる沖縄にもビジネスチャンスが到来する。新たな巨大市場を魅了する品目の発信、中台の人的交流のすそ野を広げる国際観光地としての底上げなど、力量が問われる。食の安全を売りにした農水産物など、沖縄ブランドを確立し、活路を開きたい。









琉球新報社説より転載

by exjwq9 | 2010-07-03 23:49  

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