追加金融対策 対症療法では効果薄い

2010年8月31日 09時42分






 政府と日銀は30日、急激な円高に対応する経済、金融対策を発表した。ようやく打ち出した対策だが予想された範囲にとどまり、市場の反応は冷ややかだ。新たな経済成長路線を打ち出せない民主党政権の弱さが指摘されそうだ。

 日銀の金融緩和策は、超低金利で資金を貸し出す「新型オペ」の追加措置が中心で、金融市場に金利ほぼゼロの資金を多量に供給することで円安を誘発するものだ。昨年12月と今年3月にそれぞれ10兆円(固定金利0・1%、3カ月物)を供給、今回も10兆円(6カ月物)の資金供給を行う。市場金利を一段と低下させ、企業や金融機関が長めの資金を調達しやすくした。

 政府も急きょ、経済関係閣僚委員会を開き、経済対策の基本方針を決定した。円高で打撃を受けている中小企業を支援する雇用安定化対策を拡充する。日銀の金融緩和策と連動し、為替介入も辞さないとの姿勢をアピールすることで円買いをけん制する。

 ようやく出た経済、金融策だが、効果は限定的だった。新たな金融緩和への期待感から同日午前中の東京外国為替市場は円ドル相場が1ドル=85円台で推移、円安方向に振れた。しかし発表が事前報道を上回る内容では無かったことから、円の買い戻しが広がり、午後には84円72銭近辺まで戻した。政府、日銀の経済、金融対策に市場の評価はいまひとつだ。

 さらに今週末に予定される米国の雇用統計の中身次第では、米国の景況感が一層悪化し、ドル売り円買いが膨らむ可能性も指摘されている。

 今回の円高は15年ぶりの高水準で、史上最高の1ドル=79円台が視野に入ってくるとの観測もある。

 円高で海外旅行のお得感が広がると、沖縄観光は打撃を受ける。一方、県内製造業の大半を占める食料品製造が小麦など原材料の輸入価格引き下げで円高メリットを受ける。また原油や天然ガスなど燃料価格も下がるため、今秋の電力、ガス料金の引き下げも期待される。

 幾度となく円高を乗り切った日本経済はその都度、環境に順応し進化してきた。すでに海外に工場を移した企業は今回も部品を現地調達に切り替えたり、海外市場で製品の値上げに踏み切るなど、円高ショックを和らげようと対策をとっている。

 企業が海外進出を考えたり、事業を拡大するチャンスにもなる。また個人投資家による海外での口座開設がすでに増えているかもしれない。そんなプラス思考も大切だ。

 米国の景気後退、ギリシャ財政危機による欧州連合のユーロ安が円高の背景にある。日本がひとり対策を練っても焼け石に水の情勢だろう。

 政府は国際社会に共同歩調を呼び掛ける必要がある。同時に内需を刺激する思い切った規制緩和策など抜本的な経済対策を打ち出すべきだ。日銀に追加対策を迫っても効果が限定的だと返って悪影響をもたらす。

 菅首相は目前の党首選に目を奪われてはいないか。与党内の主導権争いに景気対策を使われては困る。






沖縄タイムス

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# by exjwq9 | 2010-09-05 13:56  

広がる所得格差 貧困対策は待ったなし

2010年9月3日 09時53分






 富める人とそうでない人の所得格差が確実に広がっているようだ。厚生労働省は、世帯単位で所得格差の大きさを示す2008年の「ジニ係数」が過去最大になった、と発表した。


 税の支払いや公的年金などの社会保障給付を反映させない当初所得ベースのジニ係数は0・5318。調査が始まった1962年以降で最も大きく、2005年調査と比較しても0・0055ポイント上昇した。


 ジニ係数は、調査世帯の所得の平均値を使って求められる。全員の富がまったく同じ完全平等を「0」、すべての富が1人に集中する完全不平等を「1」とし、1に近づくほど不平等が大きくなる。


 所得などの配分の不平等さを示す指標だが、異論もある。例えば、当初所得ベースでは年金は所得とならないため、年金で生活するお年寄りの世帯が増えれば係数は大きく異なる。


 実際、厚労省は世帯間の所得格差が大きくなった背景に賃金所得が少なく年金収入に頼る高齢者世帯の増加を挙げている。一人暮らしのお年寄りの増加と、貧困世帯の増加が同時的に進行していることをうかがわせる。


 統計上の数字だけで、社会実態を把握するのは難しいが一つの目安にはなる。


 ジニ係数の上昇は多くの国民の生活実感とぴたり重なる。生活苦で自殺に追い込まれていく人は後を絶たず、貧困にあえぐ国民は増え続けているからだ。政府は貧困の実態を早急に把握し、対策を急ぐ必要がある。






 先月15日。この国の社会制度のもろさを象徴する事件が起きた。


 さいたま市北区で無職の男性(76)が、熱中症のため部屋の中で死亡した。男性は年金暮らしで電気料が支払えず、クーラーも使えなかった。


 貧しいという理由だけで命を落とした住民に救いの手を差し伸べることができなかった。政府はこうした現実を深刻に受け止める必要がある。


 所得格差の拡大は、貧困世帯の増加につながりかねず、同じような悲しい事件が起きる可能性も高くなるからだ。


 生活に困った家庭がどのような状況にあり、どんな支援策を必要としているのかをケアする制度の拡充に取り組むべきだろう。


 資本主義社会では、所得格差の発生は避けられないが、格差の拡大を放置していいわけがない。貧困に苦しむ人々のためのセーフティーネットを構築することが大切だ。


 今回の厚労省の発表では、各県別の統計はないが、全国に比べ沖縄の所得水準の低さはこれまで指摘されてきた。総務省が発表した04年度の全国消費実態調査ではジニ係数が国内最悪だった。


 沖縄戦やその後の27年間に及ぶ米軍統治を経てきた沖縄は、戦後目覚ましい経済復興を遂げた本土とはスタートラインが異なる。


 復帰後、沖縄振興予算がつぎ込まれたとはいえ基地問題を含め、課題は積み残されたままだ。政府は県民の所得向上と、貧困層の引き上げに取り組む必要がある。






沖縄タイムス

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# by exjwq9 | 2010-09-05 13:54  

官房機密費をマスコミ・評論家へ渡すことによる消費税増税への世論操作疑惑




最近の増税賛成勢力の後押しとして、新聞社などが消費税増税キャンペーンを展開する姿勢がある。

それに対しては、新聞社の記者の中には、政権から官房機密費を受け取り、国民に消費税増税を「常識」であるかのように認知させる記事を書いているという批判がなされている。

たしかに多くの新聞社は、国民は「10%増税を飲むのが当たり前」という主張を繰り返している。

また裏では政権与党と大新聞社の間では、新聞代金には、「文化目的」というテーマで軽減税率の適用の密約が結ばれているとの批判もある。





こちらより転載

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# by exjwq9 | 2010-08-14 22:07  

NHK・視点・論点/参議院選挙の結果と分析

2010年07月12日 (月)
政策研究大学院大学教授 竹中治堅






 昨日、参議院議員選挙が行なわれました。この選挙では民主党の獲得議席は44に止まりました。一方、自民党は51議席を確保し、改選議席の中では第一党になりました。この結果、民主党と国民新党の議席数を合わせても110と過半数を割りました。民主党は敗北しましたが、菅首相は、続投を表明しました。


 参議院は大きな権限をもっており、参議院議員選挙は政治的に重要な意味を持ちます。憲法の下では衆議院が参議院に優位すると考えられています。しかし、衆議院の参議院に対する優位性は弱いものにすぎません。法案を制定する上で衆議院と参議院は実質的にはほぼ対等な関係にあるため、内閣が政策を立案する上で与党の議席数を過半数にすることが望ましいのです。菅首相が今後、政権を安定的に運営するためには与党の議席数を参議院でも過半数にすることが都合がよく、この選挙は重要な意味を持ったのです。加えて、この選挙は、政権交代後初めての本格的国政選挙で、与党としての民主党に対し国民の審判が下されるという意味でも注目を集めたのです。


 このように重要な意味を持つ今回の選挙について、三つのことを考えてみます。一番目は、選挙の結果の評価です。次に、民主党政権の政策課題について触れ、最後に、政治情勢の簡単に展望するつもりです。


 今回の選挙では、二つのことが問われました。第一に、昨年9月以来の民主党の政権運営全般への評価です。第二に菅内閣が打ち出した政策への評価です。特に菅首相は選挙に際し、本年度中に税制改革案をまとめる考えを示すとともに、消費税率を10%にすることを検討することを公約とし、注目を集めました。


 まず、国民は昨年9月からの民主党の政権運営のあり方に対して、国民は厳しい審判を下したということが言えます。民主党政権は事業仕分けでは実績を残しました。しかし、日米関係は悪化し、経済停滞は続きました。また、政治とカネの関係をめぐって国民の政治に対する信頼を損ないました。今回の選挙では一連の問題について不満が表明されました。言い換えれば、我々国民は、首相を鳩山さんから菅さんにかえるだけでこうした問題に目をつぶるつもりほど甘くはないということです。


 それでは、消費税引き上げを含む税制改革についてはどうでしょうか。多くの報道や民主党内の一部では民主党の敗因をは菅首相が消費税引き上げに言及したためであると考えられています。しかし、私は民主党が苦戦した理由が消費税引き上げという政策自体にあったとは考えません。なぜなら、自民党は民主党よりも明確に消費税を10%にすることを公約として打ち出しており、その自民党が改選議席では第一党を確保しているからです。


 問題は、10%という数字の算定基準が不明確であったことに加え、首相が、その後、消費税引き上げをめぐる発言がブレさせたことにあります。首相が税制という国家運営の最も基本的な問題についていったん打ち出した後に、その発言をころころと変えてしまえたために、首相の指導力に疑いが抱かれることになってしまったのです。また、一部の民主党政治家が選挙戦中に公然と首相の方針に反対論を打ち出したことも党としての一体性を損なうことになりました。算定基準の不明確さ、発言のぶれ、党としての一体性のなさが、昨年9月以来高まっていた民主党の政権運営能力に対する不安感をさらに増大させ、民主党の敗北に繋がったのだと考えております。


 民主党は9月に代表選を控えて、党内では首相の責任論も出ているようです。しかし、対外的に首相が短期間でかわることは日本の信用を損ないます。対内的にも政策の継続性という観点から好ましくありません。参院選挙は政権の存否かける選挙ではなく、菅首相は退陣する必要はないと考えます。政策課題は山積みで与党が党内抗争をしている余裕は今の日本にはありません。


 さて、菅内閣の今後の課題は何でしょうか。喫緊の課題はやはり、危機的状況にある我が国の財政への対応でしょう。今年度予算では92.2兆円のうち、税収は37.3兆円にすぎず、国債で賄っている額は44.3兆円にものぼります。家計で例えていうならば、100万円の支出をしているのに対し、40万円しか収入がないのに、借金を47万円しているようなものです。このような状態を続けられるとは考えられません。みんなの党は増税をするのは無駄を削減してからであると主張されました。国の支出の無駄を見直すために不断の努力が必要なことはもちろんのことです。ただ、昨年の事業仕分けで達成された、恒久的な節約は1兆円に過ぎず、無駄削減には限界があります。やはり、増税は避けられない状況にあります。そして、安定的な歳入を得られる消費税を増税策の柱にするべきです。


 繰り返しになりますが、野党第一党の自民党は消費税を10%に引き上げることを公約として掲げました。また、菅首相は消費税を10%に引き上げることを視野に税制改革の議論を始めることを公約として掲げました。従って、消費税引き上げを視野に入れた税制改革の議論を始めることについては今回の選挙を民主、自民両党間に事実上、超党派の合意が形成されたと見るべきです。従って、菅首相は自信をもって消費税引き上げを柱とする税制改革案を策定するため超党派の協議を谷垣総裁率いる自民党に呼びかけるべきです。また、谷垣総裁もいろいろ難癖をつけずにこの協議に応じるべきです。応じなければ、今回の選挙における自民党の公約は何だったのかということになってしまうでしょう。

 税制改革の協議においては、消費税の逆進性の緩和策、消費税増税と併せた所得税の累進課税の強化なども議論するべきでしょう。また、同時に、増税がなぜ必要かを多くの国民に説明することを心がけていただく必要があります。

 また、増税は経済に負担をかけることになります。このため、経済を活性化させる方策を考えることが必要です。具体的には、二つのことが重要です。まず、デフレを克服する必要があります。デフレは雇用に悪影響を与えるなど経済の成長力を削ぎます。デフレを克服するために日本銀行が今以上の金融緩和政策を行なうことが必要で、日銀が十分その責任を果たしてきたとは言えません。菅内閣は日本銀行と必要な協議を行なうべきでしょう。もう一つ重要なのは、先月策定された成長戦略を含め、日本の成長力を高める政策を実行していくことです。


 菅首相は、与党が参議院で少数勢力となったなかで、こうした政策課題の実現に取り組まなくてはなりません。参議院で与党議席が過半数割れしたことを考えると国民新党以外の政党に連立への参加をよびかけることが考えられます。鍵となるのは公明党でしょう。公明党が連立に参加すれば、参議院における与党勢力は過半数になるからです。ただ、当面は菅首相は政策毎に協議を行なう考えを示しました。この場合に、鍵となるのは自民党です。民主党と自民党の政策は税制改革以外にもデフレ脱却を掲げるなど似通ってきており、政策協議の余地は十二分にあるからです。経済や財政を取り巻く状況は非常に厳しく、連立を組むにせよ、政策協議を行なうにせよ、各政党には譲れるところは譲り、協力してもらいたいと思います。

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# by exjwq9 | 2010-07-31 22:27  

一括交付金制度 本土並み再考の契機に

2010年7月21日 08時56分






 一括交付金制度の主導権をめぐり中央と地方のせめぎ合いが本格化する。沖縄の特殊性に配慮した「沖縄振興一括交付金」の制度化を求めている県は勝負の時期を迎えている。

 仲井真弘多知事は概算要求に向けた国庫要請に合わせて、8月5日に前原誠司沖縄担当相と面談する際に、一括交付金の沖縄特例を要請する準備を進めている。

 地域主権を推進する民主党政権は「ひも付き補助金」を廃止し、交付金化する方針だ。来年度は手始めに公共事業をはじめとする投資への国庫補助金を地方が自由に使える交付金に切り替える予定だ。

 この制度は当初、地域が自己決定できる財源にするはずだった。しかし権限と影響力が弱められる各省の抵抗が強く、いつのまにか国が深く関与できる内容に変質した。役所側の巻き返しが強まる中で、沖縄側の要求も逆風にさらされそうだ。

 沖縄特例を求めるのは、交付税や経済対策などで予算が地方へ配分されるとき、全国一律の指標が使われるため、沖縄の事情が反映されない恐れがあるためだ。人口、面積、農業従事者数、人口密度などいずれも離島県に不利な算定基準となる可能性が高い。

 これらが一括交付金化に適用された場合、沖縄分は現状の5分の1に減る、と県側は危惧(きぐ)する。

 ただでさえ沖縄は戦後27年間も経済成長から取り残された。ここは制度設計という未来に向けた勝負どころだけに、知事はひるむことなく切り込んでもらいたい。

 復帰後、公共事業の高率補助で道路、港湾など社会インフラ整備が急ピッチに進められた。

 本土に追い付け―の「格差是正」の時代はそれでよかった。しかし、ある程度満たされて分かったのは、全国一律では沖縄は生きにくい、ということではないだろうか。

 隣県や首都圏と鉄道や高速道路で連結される本土とは生産効率に大きな差がある。高速道路無料化で隣県からの観光客増加を見込む本土に比べ、沖縄でのメリットは限定的だ。農家の個別所得補償にしても離島県で農地が少ない沖縄でどれほど政策効果はあるのだろうか。

 地域主権という大改革を機に、復帰時に目指した「本土並み」の利益・不利益を検証する必要もあるだろう。中国人観光客が見込めるにもかかわらず、全国一律の道路標識や案内しか立てられないのは、中央集権がもたらす画一化の弊害だ。

 県の要求は予算の増額ではなく、内閣府沖縄担当部局の事業分(本年度は約2300億円)を維持し、沖縄が自由に使えるようにすることだ。「全国一律」では割を食うため、沖縄の特殊性に配慮するよう求めている。

 特例を認めさせるには人一倍の説得力が必要だ。恐らく政府は例外を嫌うだろう。すでに内閣府には「沖縄だけの検討は難しい」との消極論があるようだ。

 地域主権を獲得する第一歩として、県はひるむことなく交渉してもらいたい。







沖縄タイムス

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# by exjwq9 | 2010-07-25 13:45  

「県境」の島 浮上に憤り 徳之島ルポ 沖縄の痛み 今わが身に

2010年4月6日 09時55分






 サトウキビの収穫が一段落し、表面上は穏やかな集落のあちこちに、「基地移設絶対反対」と書かれた垂れ幕や立て看板が目立ち始めた。沖縄本島から北に約200キロ。沖縄の負担軽減を掲げる鳩山政権が、米軍普天間飛行場の訓練移転先として有力視している鹿児島県徳之島だ。

 候補地に突然浮上してから2カ月余り。沖縄県外移設を重視する鳩山由紀夫首相が抱く「腹案」に、島民は神経をとがらせる。

 「徳之島は『県外』といっても、『県内』が『県境』になっただけじゃないか。小さな島に負担を押しつけるのは絶対に許されない」。島の南部にある伊仙町の大久保明町長は、憤りを隠せない。

 徳之島空港そばの天城町総合運動公園野球場で、米軍基地移設反対の郡民大会が開かれたのは3月28日。人口約2万6千人の島で、主催者発表で4200人が集まった。ある島民は核燃料再処理工場の建設計画を阻止した1970年代の住民運動に重ね、「基地が来たら、命がけで止めるしかない」と息巻いた。

 「子どもたちを騒音の中に、犯罪の中に、不安の中にさらすことはできない」。母親代表で意見表明した徳之島町の保育士、磯川真理枝さん(39)が訴えると、ひときわ大きな拍手が起きた。

 磯川さんは昨年12月、町が主催した島民劇「北緯二十九度線」に出演した。劇で描かれたのは、奄美群島が53年に日本復帰するまでの8年間の島の暮らし。米軍施政下で本土との物流が途絶え衣食住に事欠きながらも、明るくたくましく島を守る先人の姿に接した。

 5月末までの移設先決着に向け、政府・与党の検討作業が慌ただしくなる中、島内では今月中旬にも再び大規模な反対集会を開く計画が持ち上がっている。「今、基地を持ってきたら、祖先が守ってきた豊かな徳之島を子どもたちに残せない」と磯川さんは力を込める。

 忍び寄る基地の影、手探りの反対運動。わが身にふりかかって気づいたことがある。「これまで基地問題はどこか人ごとだった。騒音や事件・事故の負担をずっと抱えてきた沖縄の人を思うと、その痛みに心を寄せていなかった自分が恥ずかしい」(新垣綾子)






反対派 結束に自信
「基地は地域も壊す」
賛成派、民主と接触



 米軍普天間飛行場の移設に反対する島民らが「徳之島の自然と平和を考える会」を結成したのは、鳩山由紀夫首相に近い民主党衆院議員が徳之島案を携え、島の3町長と面談したわずか2日後。官民一体の活動が始まった。

 政府から具体案の提示はないが、沖縄に近く、島の北西部に2000メートルの滑走路1本を備えた空港があることや、基地や演習施設を整備しやすい平地が多いという「地の利」が島民を不安に陥れる。

 3月末の反対集会には4200人が集まった。同会の椛(かば)山(やま)幸栄会長(55)は「運動慣れしていない徳之島でも、基地反対で共通できる土壌がある。十分に戦える」と手ごたえをつかむ。

 ふってわいた移設話。椛山会長はかつて島で衆院選のたびに地域、親族を反目させた「保徳戦争」に触れ、「保徳戦争のような対立を生むのは目に見えている。島の豊かな自然だけでなく、コミュニティーも破壊する基地は、絶対に受け入れられない」という信念を強くする。





■   ■

 「お化けが来るみたいに基地を反対で片付けるのではなく、雇用や経済効果と真剣に向き合う現実的な姿勢も大事ではないか」。基地受け入れに前向きな元天城町議会議長の前田英忠さん(62)は問いかける。民主党衆院議員に島を案内したのも前田さんだ。

 1955年に5万人を超えた島の人口は減り続けて現在、約2万6千人。島民の1人当たりの所得は160万円ほどにとどまる。「高校を卒業した子どもは島から出て帰ってこないし、このあたりもずいぶんさびれたよ」。葬祭業を営む前田さんは、会社兼自宅が建つ通りを指さした。

 移設を受ければ、建設業や飲食店の働き口が増えるだけでなく、国から莫大(ばくだい)な振興策を引き出せる―。前田さんの胸にはそんな将来像がある。

 3月28日の徳之島町議選で、唯一基地移設賛成を掲げた立候補者が最下位で落選。賛成派は今のところ、組織だった動きをせず、水面下で民主党側と接触を続けている。

 前田さんは言い切る。「沖縄の負担を減らす観点からも、政府が徳之島しかないと決断した場合は、推進に向け具体的に動くことになる」








沖縄タイムス

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# by exjwq9 | 2010-07-25 13:44  

軍用地跡利用 国の責任もっと明確に

2010年7月22日 09時26分





 県と関係市町村は、米軍用地の跡地利用に関する新たな法制度の制定に向け、「基本的考え」を了承した。

 駐留軍用地特別措置法(軍転特措法)と、大規模跡地利用に関する条文を盛り込んだ沖縄振興特別措置法(沖振法)は、いずれも2012年3月末に期限切れを迎える。返還軍用地の跡地利用を進めるためには、現行法制度の課題と問題点を踏まえた新たな法制度がどうしても必要である。

 どのような法制度が望ましいのか。なによりも大切なのは、国の責任を明確にすることだ。それが基本であり、出発点である。

 現行の沖振法は95条の「基本原則」の中で「国、沖縄県及び跡地関係市町村は、跡地の有効かつ適切な利用を促進するよう努めなければならない」とうたっている。国、県、市町村の責任を並列化した文言だ。この基本原則に基づいて96条に「国の責務」、97条に「地方公共団体の責務」を掲げ、それぞれの役割を明記している。

 「国の責務」として、必要な財政上の措置などを掲げてはいるものの、条文を読む限り、国の責任を明確にした法律とは言い難い。

 20日の会議で了承された「基本的考え」は、「基地跡地の適切な利用は、日米安保条約に基づく基地提供義務と対をなす国の責務である」と明確に指摘している。

 「跡地利用の推進は長年、基地を提供してきた国の責務として行われるべきである」との県の基本姿勢は、沖縄にとって譲れない一線である。

 米軍基地の返還はこれまで、那覇新都心がそうであったように、こまぎれ返還が多く、跡利用が完了するまでに相当の歳月を要した。

 恩納通信所やキャンプ桑江北側の軍用地は有害物質の処理に手間取り、跡利用が大幅に遅れた。

 埋蔵文化財調査や環境調査のための基地立ち入り、汚染土壌の原状回復措置の徹底、給付金制度の見直しは欠かせない。

 嘉手納基地よりも南に位置する六つの米軍基地の返還・跡利用は、「基本的考え」が指摘するように、「県土構造の再編にもつながる大きなインパクトをもっている」。沖縄の将来像を左右すると言ってもいいような、前例のない一大事業だ。

 はっきり言って県や市町村でできる代物ではない。国の責任で事業主体を確立し、国費で事業を実施する仕組みをつくる―そのための特別立法が必要だ。

 今後返還が予定されている基地の跡利用は、繰り返しになるが、21世紀沖縄の一大プロジェクトになるはずであり、その果実を享受するのは次の世代だ。

 次の世代にどのような沖縄を引き継ぐのか。県民の構想力も問われる。

 懸念されるのは、新たな法制度の制定が、普天間飛行場の辺野古移設と引き換えになるおそれがあることである。政府がそうやって地元を揺さぶるのは目に見えている。対抗の論理をどう築くかも大きな課題だ。






沖縄タイムス

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# by exjwq9 | 2010-07-25 13:41  

[普天間と民意 ねじれをどう解くのか

2010年7月13日 09時55分





 いったいこれからどうなるのだろうか。米軍普天間飛行場の問題は参院選で焦点とならず、政権与党は地元民意を確かめようともしなかった。


 菅内閣は8月末までに移設先の位置や工法を決めることを米政府に約束している。沖縄の民意など聞いている暇はない、ということなのか。


 昨夏の衆院選で実現した政権交代に有権者は政治との一体感を味わった。ところがわずか10カ月後のこの停滞ムードはなんだろうか。また裏切られるだろうという思いが先に立つ。


 沖縄選挙区の投票率52・44%は過去最低で、全国でも最低だった。前回より7・88ポイントも下回ったのは、普天間問題で振り回された揚げ句に「辺野古回帰」という悪夢のような結末に政治不信が深まったためだろう。


 民主党は全選挙区で唯一、沖縄で公認・推薦を擁立しなかった。


 「国政に関与しないでいいということだろうか」。12日付本紙社会面にあるコメントから有権者のやるせない気持ちが伝わる。


 「最低でも県外」を断念した理由がいまだ判然としない上、選挙で民意すら問わないまま押し切ろうというのか。そんな虫のいい話がうまくいくわけがない。


 移設先を名護市辺野古周辺とした日米合意は「いかなる場合でも8月末」までに移設計画を決めることにした。11月にはオバマ大統領がアジア太平洋経済協力会議(APEC)のため来日する。


 菅内閣は「普天間」で抜き差しならない状態になる。


 8月末から秋にかけて政治日程がめじろ押しだ。


 9月に民主党の党首選と名護市議選があり、11月には県知事選と日米首脳会談が控える。民意と対米交渉のはざまで菅直人首相も身動きが取れなくなれば、進退問題に及ぶ可能性すらある。


 あるいは解決を先延ばしにするかだが、無責任はなはだしい。いずれにせよ外国軍基地問題で首相がすげ替えられることの異様さに政治は早く気付いてもらいたい。


 衆院選、参院選のいずれも辺野古移転に反対した候補者が当選。県議会は2度全会一致で反対決議した。日米合意は破綻(はたん)している。


 民主党内にも「県外・国外」を主張する議員は少なからずいる。それが勢いづけば党首選で菅首相の足元を揺るがすかもしれない。


 再び「抑止力」のため、という空虚な考えが党内に広がるようでは解決の糸口をつぶしてしまう。


 秋までの日程をさまざま想定してみるが、基本的には何も決まっていない。前政権同様、振興策をちらつかせ地元説得がしばらく続くだろう。


 自民党本部の方針に反して「県内移設反対」を訴え選挙区で当選した島尻安伊子氏は党内で孤立しかねないが、中央で理解を広げることが任期中の使命だ。


 県選出議員は再度党派を超えて県外・国外で手を組んではどうか。対案を提示できるよう深く動いてほしい。


 そうすれば存在感と影響力が増すはずだ。








沖縄タイムス

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# by exjwq9 | 2010-07-25 13:39  

中台経済協定 沖縄もチャンス生かせ


2010年7月1日




 中国と台湾が自由貿易協定(FTA)となる「経済協力枠組み協定(ECFA)」に調印した。中台経済の一体化がさらに強まる。1949年の中台分断以来、初めてとなる包括的協定締結は、北東アジアの緊張緩和を加速し、平和と安定にも大きく寄与する。歓迎したい。


 経済的な相互依存の高まりには、中台間の政治・軍事的対立を緩和する効果も見込める。96年の台湾総統選で、中国軍が与那国島近海にミサイルを放ち、台湾独立派に露骨な軍事的圧力をかけたころと隔世の感を覚える。中台の軍事的緊張を駐留根拠の一つに挙げ続けてきた在沖米軍を削減できる環境がまた一歩整った。


 ECFAは、中国側が539、台湾側が267の品目について2011年1月から2年間かけて関税をゼロにする。それ以外の貿易品目についても関税撤廃協議を続け、最終的には自由貿易地域を目指す。金融やサービス分野の開放も進めていく。東南アジアでは、東南アジア諸国連合(ASEAN)を軸にした自由貿易圏の形成が進んでいるが、ECFAは遅れていた北東アジアで初めての枠組みとなる。


 08年の国民党政権発足以来、台湾は政治的な対立を避け、中国との経済的結び付きを強めてきた。中台間を結ぶ航空便は週に約270便、年間の船舶の行き来は1万3千隻に上る。台湾の総輸出額の約4割は中国向けで、国民2300万人のうち約100万人が中国に常駐するまでになっている。将来的な政治統一をにらむ中国はECFAで台湾に大幅譲歩した。中国産農産物の輸出を禁じ、台湾の労働力市場は開放しなかった。


 対中貿易のライバル・台湾をにらみ、韓国は中韓自由貿易協定の締結を目指す動きを強めているが、日本は出遅れている。政府の新成長戦略は「アジア大平洋自由貿易圏」を目指している。中台との交易促進に向けた取り組みを強化すべきである。


 北東アジアで経済のグローバル化が進み、歴史的に中台双方から親近感を持たれる沖縄にもビジネスチャンスが到来する。新たな巨大市場を魅了する品目の発信、中台の人的交流のすそ野を広げる国際観光地としての底上げなど、力量が問われる。食の安全を売りにした農水産物など、沖縄ブランドを確立し、活路を開きたい。









琉球新報社説より転載

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# by exjwq9 | 2010-07-03 23:49  

民主党内に亀裂 どれが政権公約なの?

2010年7月1日 08時56分





 参院選で民主党は同じ党かと疑うほどの内部バトルを演じている。小沢一郎前幹事長と党執行部との対立である。お互いに批判のボルテージを上げるばかりで、「分裂選挙」の様相を呈している。小沢氏は自身の資金管理団体の土地購入をめぐる収支報告書虚偽記入事件で、検察審査会の2度目の議決を待つ身ながら党内では依然、最高実力者と目されている。


 小沢氏は党が参院選マニフェスト(政権公約)で、子ども手当の満額支給断念など昨年の衆院選マニフェストから後退させたことを批判、消費税をめぐる菅直人首相の「自民党の10%を参考にする」との発言にも「(衆院選で5%に据え置くと)約束したことは何としても守らなければならない」とトーンを上げる。


 これに枝野幸男幹事長らは「硬直的な考え方をするのは結果的に国民に迷惑を掛ける無責任な大衆迎合だ」と激しく反論している。





 消費税率引き上げについて菅首相の姿勢はぶれているとみられても仕方がない。


 マニフェストの発表で菅首相は「自民党の税率10%を参考にする」と発言した。その後の会見では「公約と受け止めてもらって結構だ」とさらに踏み込んだ。この消費税発言が影響したとみられ、V字回復を果たした内閣支持率はここにきてダウンした。参院選に向けた有権者の動向を探る共同通信社の2度目の全国電話世論調査で支持率は6・0ポイント下落し、58・8%となった。菅首相はサミットに出席したカナダで「超党派での議論を呼びかけただけで、公約ではない」と修正した。


 党内対立の背景には参院選後の政権枠組みをめぐる思惑がありそうだ。参院選で単独過半数が獲得できなかった場合の連立をめぐって執行部幹部の発言が二転三転する。具体的な連携の話を出したかと思うと、党内から批判されるや、ひっ込めるなど混乱気味だ。





 民主党は、沖縄選挙区で全国で唯一公認・推薦候補を出すことができなかった。


 米軍普天間飛行場問題で沖縄の頭越しに移設先を名護市辺野古とした「日米合意に基づいて」とマニフェストに盛り込み、猛烈な反発を招いているからだ。全国比例区の喜納昌吉氏は抗議し「県外・国外」を主張している。


 事実上、三つどもえの沖縄選挙区でも有権者は戸惑っているのではないか。


 もともと、辺野古案を進めていたのは自民党政権である。自民党も県連との間でねじれている。マニフェストでは「在日米軍再編を着実に進める」と書いている。これに対し、県連は独自公約として「県外・国外を強く求める」と明記し、島尻安伊子氏も県外移設を唱えている。山城博治氏は県外・国外移設、伊集唯行氏は無条件返還を訴えている。3人とも県内移設反対では一致しているのである。


 島尻氏は消費税率10%引き上げのマニフェストにも明確に反対の立場だ。




 二大政党のいずれも何を公約にしているのか本当に分かりにくい選挙になっている。








沖縄タイムス

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# by exjwq9 | 2010-07-01 22:38  

教職員の病休 原因究明し効果的対策を

2010年6月30日




 「心の病」にかかった公立学校の教職員が過去最多を更新した。県教育庁がまとめた調査結果から、学校を取り巻く過酷な現状が浮かび上がる。いじめや不登校、暴力行為など子どもが抱える問題の背景には、家庭環境など複雑な要因が絡まっている場合が多い。

 もつれた糸を解きほぐす役目を教職員だけに負わせてはいないだろうか。教職員だけでは十分対応できない状況が増えている。教職員の精神的負担を軽減するために、学校と関係機関とを仲介する社会福祉の専門家「スクールソーシャルワーカー」の役割に注目したい。恒常的に専門家の協力を得られる仕組みを整える時期にきている。



 今回の調査によると、精神性疾患を理由に3カ月以上病気休職した公立小中高校、特別支援学校の教職員が、
2009年度は164人。08年度より8人増えた。

県教育庁が2年前に実施した勤務実態調査によると、
県内の公立学校の教員の52%は1日2時間以上の勤務時間外労働をしている。
全国平均1時間43分を上回る。
5時間以上は5・9%に上る。



 勤務時間内に会議や報告書作成作業に追われ、肝心の教材研究や授業の準備など本来の教育に専念できない。自宅に仕事を持ち帰り、7割は休日出勤していた。本来家庭の問題であるにもかからず、学校に理不尽な要求をしてくる保護者もいる。

 現場の負担感は2年前とあまり変わらないという。限界を超えた業務に心身ともに疲労が蓄積して、自信を喪失しついに病んでしまう。




 こうした厳しい環境に置かれている教職員の負担を軽減するため、事務作業や会議の在り方の見直しが必要だろう。放課後や週末の部活動指導は地域の力を借りることも検討したい。特に虐待、育児放棄、経済的困窮などの問題を抱える家庭に、教職員が向き合うには限界がある。問題を抱える保護者や子どもに対し、専門的な見地で家庭状況に合った対応をするのがスクールソーシャルワーカーだ。県内に11人配置されているが数が足りない。教職員が心身ともに充実していなければ教育の再生はおぼつかない。子ども、保護者、カウンセラー、スクールソーシャルワーカー、関係諸機関、地域の連携が必要だ。







琉球新報社説より転載

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# by exjwq9 | 2010-07-01 00:35  

公約点検・参院選 (経済政策) 成長実現の具体策示せ

2010年6月25日 09時50分




 参院選は、菅直人首相が消費税引き上げ論議を仕掛けたこともあり、財政再建問題が争点の一つにクローズアップされた。かぎを握るのは、収入増(経済成長)と支出減(無駄の排除)であり、どちらが欠けても財政問題は解決しない。

 経済といえば、かつて日本国民が誇りを持てる数少ない分野の一つだった。政治の体たらくに比して「経済は一流」と揶揄(やゆ)され、「経済大国」ともてはやされたのも遠い過去の話ではない。

 だが、現状はどうか。家計は雇用不安の高まりや賃金の低迷ですっかり元気をなくしている。将来設計が描けないため消費は活発化しない。国際社会でも中国など新興国の勢いに押され、存在感は薄れていく一方だ。今や、経済が語られる場合の決まり文句は「閉塞(へいそく)感」「停滞」「低迷」などとなっている。

 経済成長の道筋を描いて、国民に失った自信を取り戻させるのは政治の責任だ。




 菅政権は、「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」の一体的実現を提唱している。経済成長をエンジンに財政再建を進めながら社会保障を充実させる―というプランは理想的だが、エンジンの役目を果たす経済成長をどう実現するのか、先行きはまだ見通せない。

 鳩山由紀夫前政権をはじめ、麻生太郎、福田康夫、安倍晋三とさかのぼる、ほぼ1年単位で代わった直近の政権は特効薬を処方できなかった。経済成長とは、「言うは易(やす)く行うは難し」目標だ。

 参院選の政党公約を見ると、経済面では魅力的な政策が示されている。一例が経済成長の目標だ。

 民主党は2020年までの平均で名目3%超、実質2%超を掲げた。自民党は3年間で名目4%と民主党を上回る数字を打ち出し、公明党も3年後をめどに実質2%、名目3~4%成長を目指す。そのほか、国民新党が3年間で名目5%以上、みんなの党が名目4%以上の経済成長を掲げるなど、かなり強気の数字が並ぶ。

 手法としては、民主党が環境、医療・介護分野で新たな需要を生み出そうとしているのに対し、自民党は規制緩和による成長図を描きインフラ整備も掲げる。国民新党は3年間で総額100兆円規模の経済対策を講じるとし、たちあがれ日本は社会保障分野で300万人の新規雇用創出を掲げた。民主、自民両党は、法人税の実効税率引き下げも共通して打ち出した。

 素晴らしい政策ばかりだが、国民は昨年の衆院選以後、政権公約が必ずしも実行されないことを学習した。


 3~5%成長というが、過去10年間で実質成長率の平均が1%を下回り、名目ではマイナス成長の日本をどうやって高成長軌道に乗せるのか。100兆円経済対策の財源はどう手当てするのか。300万人新規雇用の裏付けは―。




 経済成長はそう簡単ではない。各政党は掲げた政策に責任を持ち、実現に向けた具体策を示すべきだ。夢物語やスローガンは必要ない。






沖縄タイムス社説の転載

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# by exjwq9 | 2010-06-26 00:40  

社説 無保険児 国保制度の抜本改革を


2010年6月20日




 誰もが平等に医療を受けられるはずの保険制度が揺らいでいる。

 本紙調査によると、県内で「無保険状態」となっている15歳以下の子どもの数が約4千人に上っている。親が国民健康保険(国保)の保険料を滞納しても子どもが「無保険状態」にならないよう、昨年4月から中学生以下は短期保険証を交付する救済策が導入された。

 だが、少なくとも3985人が「無保険状態」で、医療を受けづらい状況になっている。
 (沖縄)県内で国保に加入する世帯は約25万5千世帯。滞納率は19・7%(2009年6月1日現在)。5世帯に1世帯が滞納している。もはや「国保制度は崩壊している」と専門家は指摘する。対症療法には限界がある。社会保障制度の抜本的な改革が必要だ。

 子どもが短期証発行を受けるには、親が市町村窓口に申し出る必要がある。保険料の収納率を上げなければペナルティーを受けるため、市町村は親に窓口に来てもらいたいというのが本音だからだ。窓口に行けば支払いを催促されるという理由で保険証を取りに来ることができない世帯も多い。無保険の子どもたちがこれ以上増えることがないよう市町村には柔軟な対応を求めたい。

 国民健康保険は、自営業者や農林水産業の従事者、退職した高齢者らが加入する。保険料滞納の背景には、所得格差や非正規雇用の急速な拡大が挙げられる。親の生活苦が子どもに影を落としている。

 厚生労働省によると、全国民の7人に1人以上が貧困状態で、18歳未満の子どもが低所得家庭で育てられている割合「子どもの貧困率」は約14%だった。先日公表された5年ごとに実施している暮らしについての県のアンケート調査(県民選好度調査)によると、現在の暮らし向きについは「悪化」が40・3%となり、「改善」の15・4%を大きく上回った。特に年収300万円未満の世帯が悪化している。

 4月から、倒産や解雇などで職を失った人の保険料が軽減された。7月から救済対象に高校生世代も加える。こうした制度拡充が効果を挙げないのであれば、抜本改革するしかない。

 7月の参院選挙で各党は国保改革の是非を有権者に問うべきだ。







琉球新報社説より転載

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# by exjwq9 | 2010-06-21 00:45  

[公約点検 参院選]消費増税 将来不安なくす道探れ


2010年6月19日 09時55分





 政権与党の民主党と最大野党の自民党が、参院選のマニフェスト(政権公約)で、そろって消費税率の引き上げ方針を掲げた。


 消費増税という不人気政策を公約に掲げることは、選挙に不利だと見られ、長いことタブー視されてきた。実際、自民党は、消費税を導入した年の参院選で惨敗し、税率を3%から現行の5%に引き上げた翌年の参院選でも大敗した苦い経験がある。昨年8月の衆院選で民主党が「無駄の削減が先だ」と増税論議を避けたのは、端的に言えば、選挙に勝つための、政権交代を実現するための、戦術であった。


 それが、どうだ。参院選を前にして、民・自の二大政党が、正面から消費増税を公約として掲げたのである。民主党はマニフェストで「消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始する」と明記した。自民党は10%の税率引き上げを掲げるとともに、福祉目的税化や低所得者への配慮など具体的な実施方針を打ち出した。これを受けて菅直人首相は「自民党が提案している10%を一つの参考としたい」と明言、参院選後に自民党に協議を呼びかける考えを示した。基本姿勢の大きな転換である。


 マスコミ各社の世論調査で、税率引き上げに肯定的な意見が50%を超えるなど、有権者の意識は確かに変わりつつある。ギリシャの例に見られるように、財政破(は)綻(たん)への強い危機意識が菅首相の背中を押したのかもしれない。


 消費税論議をいつまでも避け続けることはできない。消費税を現行のまま据え置いて、この先、果たして医療・介護・年金などの社会保障制度を維持することができるのかどうか。議論を始めるべきときにきている。


 ただし、本格的な議論を始めるにあたっては、幾つかの前提がある。


 民主党は昨年、衆院議員の4年間の任期中は消費税を上げないことを公約に掲げ政権交代を実現した。国民の信を問うことなく任期中に消費増税を実施することは、有権者への裏切りであり、あってはならないことだ。


 第二の前提は、社会保障制度改革との一体的な議論が必要だということである。今、日本の政治が取り組むべき最も大きな課題は、国民の将来不安を解消することだ。消費増税によって将来不安がいっそう高まるようでは、マイナスだ。


 税制の抜本改革の中で消費税を議論することも重要だ。


「大企業減税を消費税の引き上げで穴埋めし、社会保障費は抑制路線。庶民を痛めつける以外のなにものでもない」(志位和夫・共産党委員長)と指摘されるような消費増税では、理解は得られないだろう。


 行政の無駄を徹底して洗い出し、官僚の天下りにメスを入れていく作業も、増税論議の前提だ。聖域を設けずに、「思いやり予算」などの分野にも切り込んでいく姿勢がなければ、消費増税は受け入れられないだろう。






沖縄タイムス

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# by exjwq9 | 2010-06-20 06:12  

「密約」新方針 主権国家の気概が不足だ


2010年6月14日






 異なる解釈の余地を残す日本政府の新たな対処方針は、主権国家としての気概が不十分だ。さらなる密約を招かないか疑問である。朝鮮半島有事の際、在日米軍の出撃に絡み米側から事前協議の申し出があった場合、日本政府が、「適切かつ迅速に対応する」とオバマ米政権に伝達したことだ。


 新方針は、外務省の密約調査の結果、日本からの米軍出撃を事前協議の対象としない1960年の「朝鮮半島有事の密約」の失効が確認されたことを受けた措置だ。事前協議制度の空洞化回避と、密約調査後も米軍運用に支障が出ないとの対米保証―との均衡を図る政治的意図が指摘されている。ただ「ノー」の選択肢を完全排除しない新方針の含意が十分理解されず「米側で論議を呼ぶかもしれない」(日米関係筋)という。


 朝鮮半島有事は予防外交で回避すべきだ。仮に不測の事態が生じても必ずしも日本にとっての死活的問題とは限らない。米側にフリーハンドを与えるのではなく、「ノー」の選択肢を残しておくことは主権国家として当然の姿だ。


 岡田克也外相は「『イエス』『ノー』ということについては何もコメントしていない」とするが、事前協議では「『ノー』もあり得る」と誠実に表明した方がよい。それでこそ「対等な日米関係」だ。朝鮮半島有事密約は69年の日米首脳会談時に佐藤栄作首相が無効化を目指し、事前協議には「前向きかつ速やかに」対応すると表明。新方針は「イエス」を意味する「前向き」を、「ノー」の解釈が可能な「適切」に修正を狙う。


 日本政府は戦後一貫して日米密約の存在を否定し、米軍に基地の自由使用を保証してきた。新方針によって日本側が本気で在日米軍の出撃に歯止めをかける意思があるのか即断はできない。引き続き、対米外交への国民の監視が必要だ。


 岡田外相は今月、日米密約関連の重要文書廃棄に関する調査報告書を公表。不用意な文書廃棄で「重要文書が失われた可能性は排除できない」としながら、真相究明や密約隠ぺいの意図を曖昧(あいまい)にしたまま、幕引きを図っている。これは、国民への背信行為だ。国会の出番である。歴代の外務省幹部を調査、真相を究明してほしい。“嘘(うそ)にまみれた外交”との決別なくして、国民の信頼に根差した日米関係の再構築は望めない。







琉球新報 社説span>
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# by exjwq9 | 2010-06-20 05:57  

シベリア特措法 65年「放置」した罪重く

2010年6月19日





 元シベリア抑留者に一時金を支給する特別措置法が成立した。戦後65年。あまりに遅過ぎる対応だが、生存者への給付金支給で問題の幕を閉じるわけにいかない。政府は不透明な点が残る抑留の真相解明に本腰を入れるべきだ。国会にも歴史の「暗部」を照らし出す責任がある。


 第2次大戦後に旧ソ連・シベリアやモンゴルで強制労働させられた日本人抑留者は約60万人。旧満州(現中国東北部)などから各収容所に連行され、鉄道建設や森林伐採などに酷使された。慣れない極寒下での重労働や飢え、病気などで約6万人(日本政府の推定は5万3千人)が死亡したと推定されている。


 旧ソ連の行為は、武装を解除した兵士の家庭復帰を保証したポツダム宣言に明らかに背く。人道上許されるものではない。1993年にロシアのエリツィン大統領(当時)が「非人間的な行為だった」と謝罪したが、悲劇を生んだ当事国としてどれだけ反省しているのか、大いに疑問だ。日本政府の対応もおかしい。旧ソ連への賠償請求権は1956年の日ソ共同宣言で放棄されたとするが、抑留者の大半が国家に徴兵・徴用された人々であった事実を踏まえれば、国家補償の対象とするのが筋であろう。


 戦後帰国した抑留者は46万人を超える。生存者は7万~8万人、平均年齢は87歳前後になった。長きにわたり、抑留問題を解決できずにきた歴代政権の罪は重い。事実上、放置されてきたと指摘されても仕方があるまい。


 成立した特措法は、抑留された期間に応じて元抑留者を5段階に分類した。平和祈念事業特別基金の資本金200億円を取り崩し、1人25万~150万円を一時金として支給する。ただし支給の対象は、施行日時点で生存している元抑留者に限られる。法成立を「額は少ないが、画期的」と喜ぶ人がいる一方、既に亡くなった人もおり、遺族らの思いは複雑だ。「やるせない。どうして(成立に)これだけ長く時間がかかったのか」と嘆く姿に、胸がふさがる。


 救いは特措法が抑留の実態解明が不十分だとして、調査を行うための基本方針作成を政府に義務付けたことだ。政府は抑留の実態を解き明かし、全面的な救済につなげてほしい。









琉球新報 社説

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# by exjwq9 | 2010-06-20 05:52  

沖縄コラム 2010-06-09-3

[大弦小弦] 2010年6月8日 09時55分



 鳩山内閣のほとんどの閣僚が1日の閣議にかりゆしウエアで臨んだ。米軍普天間飛行場移設問題で、多くの県民の意に反した政府方針を決めた後だけに「めでたい」の意を持つ衣装を着ることに、閣僚からも異議があったという

 ▼閣議翌日には「普天間引責」で、政権そのものが、あっさりと衣替えしたのには驚いた。軽装が早すぎたのか、世論の冷たい風が身にしみたようだ

 ▼北沢俊美防衛相は、政府の「普天間」対応に抗議の意味を込めて黄色の「かりゆし」を着ていた社民党の福島瑞穂党首に「チャイナ(ドレス)ですか」と声をかけ、「かりゆしです。沖縄の」とやりこめられたとも報じられた

 ▼沖縄の実情をよく知らないままに進めてきた普天間移設問題への対応を連想させるというと言い過ぎか。担当閣僚の言動だけに、なおさら政府と沖縄との距離感を表しているように感じる

 ▼きょう民主党の菅直人代表が首相に任命され、新たな内閣が発足する。北沢氏ら残留組が多く、小幅改造のようだ。選挙向けの衣替えにとどまるのか、国民の期待に応えられる政権に脱皮できるのか

 ▼「小沢外し」などで菅新首相の支持率は上々のようだが、前政権が積み残した「普天間」の根本的な解決という「衣の中身」こそが問われていることを踏まえて始動してほしい。(浜元克年)





沖縄タイムス







金口木舌 2010年6月5日 


注意深く聞いたつもりだが、あるべきはずのキーワードは最後まで出てこなかった。「普天間」「辺野古」「日米合意」。新首相となった菅直人氏の、民主党代表選での支持訴えだ

▼「最低でも県外」との思いを貫徹できず、辞任に追い込まれた鳩山由紀夫首相。かつては辺野古移設に反対する姿勢だった菅氏も、その二の舞いは避けたかったのだろう。「さわらぬ神(普天間)にたたりなし」か

▼対抗馬の樽床伸二氏も同様。党の代表を争う2人が、そろって普天間移設に言及せず、議員たちも暗黙の了解で受け流す。図らずも普天間問題では、樽床氏が訴えた「心を一つに」した党の姿が垣間見えた

▼この首相交代劇をみていると、13年前の比嘉鉄也名護市長の基地受け入れと辞任を思い出す。その後市長は3人が代わったが、名護市の苦悩は変わることなく続いている

▼ところが菅新首相は代表選で、日米合意について地元の理解を求める意気込みさえ示さなかった。市民の落胆ぶりは相当なものだ。「基地は来てほしくない」「対米交渉をしっかり」といった声もむなしく響く

▼夕方の会見で菅新首相は普天間問題に「腰を据えて取り組む」と語ったが、腰を据えれば据えるほど日米合意が実現不可能であることに気付くはずだ。よもや「地元の頭越し」はないと信じる。まずは名護市の民意を肌で感じることだ。





琉球新報

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# by exjwq9 | 2010-06-09 02:52  

民主新体制 「居抜き内閣」の危うさ

社説 2010年6月8日






 民主党新体制の陣容がほぼ固まった。キーワードは「脱小沢」。「小鳩体制」とやゆされた小沢一郎幹事長による「権力の二重支配」、不透明な「政治とカネ」の問題に終止符を打つ意味のようだ。

 クリーンで分かりやすい政治体制をどう実現するか。菅直人新政権に有権者の期待が高まっている。

 民主党初の鳩山由紀夫首相は、支持率が急落し退陣を余儀なくされた。原因は「政治とカネ」「普天間」問題と鳩山首相自らが認めている。

 政権中枢にいる二人のリーダーが「カネ」の問題をクリアできず、内閣支持率は20%を切り、鳩山首相は小沢氏を道連れに退陣した。

 直後の共同通信の世論調査では民主支持率は倍増し、菅新首相への期待値は57%と急回復した。

 「参院選狙い」と見え見えの退陣劇ながら、世論は「脱小沢」を評価し、権力の二重支配と「政治とカネ」に対するけじめに、一定の評価を下したといえよう。

 菅新首相は「脱小沢」を掲げ、小沢幹事長と距離を置いてきた枝野幸男行政刷新相を幹事長に起用。廃止で幹事長に党内権限が集中していた「政務調査会」を復活し、政調会長に玄葉光一郎氏を起用するなど、菅新体制は小沢氏の影響力排除を一気に進めている。

 一方で納得がいかないのは沖縄県民だ。二重支配と「政治とカネ」は、脱小沢でけじめをつけるにしても、鳩山首相を退陣に追い込んだもう一つの問題「普天間」は放置されたままだからである。

 昨年の総選挙を前に「最低でも県外」と公約しながら、政権奪取後は8カ月間も「県外移設」の思わせぶりな態度に終始し、最後は県内、しかも辺野古に回帰し、日米合意を決めた上での退陣である。

 「普天間」での失態、失政で退陣した鳩山内閣だが、菅新内閣の陣容は「普天間」を混迷させた閣僚らがそのまま残る「居抜き内閣」の様相だ。「居抜き」とは、「住宅や店舗を、家具や商品・設備をつけたまま売り、または貸すこと」(広辞苑)の意。鳩山内閣の18人中11人の主要閣僚が居残る見込みだ。

 国外・県外移設を求める圧倒的な「県民意思」を無視し、辺野古での日米合意を進めた岡田克也外相、北沢俊美防衛相も続投である。

 「辺野古」ありきの日米合意継承が「続投」の意とするならば、県民は納得しまい。新内閣も早晩、鳩山内閣と同じ命運となりかねない。





琉球新報

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# by exjwq9 | 2010-06-09 02:42  

政府と党 政調会復活で政策論を


2010年6月8日 09時55分






 民主党は両院議員総会で党役員人事を決めた。枝野幸男幹事長、玄葉光一郎政調会長、樽床伸二国対委員長らのラインアップである。玄葉氏は公務員制度改革担当相などとして入閣もする。

 菅直人新首相は「脱小沢色」を鮮明にする一方で、代表選を争った樽床氏を起用し、挙党態勢を演出した。

 菅新首相が約束していた政策調査会(政調会)の復活に注目したい。鳩山政権下の政府と党の関係は、信じられないほどいびつになっていたのではないか、との思いがぬぐえないからだ。会長に就任した玄葉氏も政調会復活を強く要望していた。

 政調会は鳩山政権発足時に、小沢氏の主導で突然、廃止された。政策決定を政府に一元化し、自民党政権時代に政官業の癒着の温床とされた族議員をなくすことなどが理由だった。

 自民党政権時代は、政府の法案は提出前にすべて政調会の部会で審議され、修正されることもあった。政策の政府・与党の二元化とも指摘され、特定業界や官庁の意向を受けた族議員を生む土壌になっていた。

 ただ、政策は政党の命綱である。政調会がなくなり、国会議員が自由闊達(かったつ)に議論し政策決定にかかわることができなければ、議員としての存在意義が問われかねない。議員立法も制限されていたからなおさらだ。

 小沢氏は陳情も幹事長室に一元化した。その結果、選挙戦勝利を最重要課題とする小沢氏に権力が集中することになったのである。

 権力の二重構造を象徴したのが昨年12月の予算編成で党から政府に提出した重点要望だった。小沢氏らの要望には子ども手当の所得制限やガソリン税の暫定税率維持など公約に反する項目が盛り込まれた。一方で参院選を念頭に置いたのがあからさまで自民党の有力支持団体の「土地改良事業費の要求額半減」を求めるなど厳しい姿勢を示した。

 「政策は政府」といいながら、「選挙を仕切る党」が前面に出て、政府と党の力関係が逆転していることを見せつけた。どこから要望が出され、どこで、どう議論されたのかまったく分からず、不透明だった。

 小沢氏は、ことし2月の長崎県知事選でも推薦候補を知事に選んでいただければ、高速道路を造ることもできる、と露骨な利益誘導とみられる発言をしている。

 すべて選挙に結び付ける小沢氏の姿勢は、古い政治体質を引きずり、自民党政権と何ら変わらない。

 鳩山政権は大臣、副大臣、政務官の政務三役による政治主導で政策決定していく仕組みを目指していた。だが、官僚との距離感は稚拙としかいえず、排除の形をとり、使いこなすことができなかった。

 政府と党の関係もばらばらだったのではないか。小沢氏は選挙に関することについては積極的だが、米軍普天間飛行場移設問題など、それ以外の政策で鳩山首相を支えることはなかった。極めて特異な政府と党の関係だったと言わざるを得ない。





沖縄タイムス

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# by exjwq9 | 2010-06-09 02:40  

アメリカに問う/民主主義の王道を 普天間県外移設に舵を切れ


2010年5月26日




 「オバマ米政権の勝利で、鳩山首相にとっては屈辱的な後退」。米有力紙ニューヨーク・タイムズが、米軍普天間飛行場の返還・移設問題で、移設先を名護市辺野古沿岸部に定めた鳩山由紀夫首相をこう皮肉った。米国益を重く見る米メディアの論評の一端であろう。県内移設を強く拒む沖縄の民意を置き去りにして、日米の二国間合意が最優先されたことは、軍事に組み敷かれた民主主義の敗北と言い換えていい。





■日米安保不安定化の根

 政権交代前の自公政権との合意見直しを受け付けず、県外移設を一時は模索した鳩山政権から一方的な譲歩を引き出した米国の「独り勝ち」の様相だ。しかし、長期的視野で見れば、沖縄社会の反基地世論を強め、日米安保体制を不安定化させる根を増殖させたことを忘れてはなるまい。

 鳩山首相の迷走と「県外移設」の公約破棄に対する批判が高まっているが、押さえねばならない視点がある。普天間飛行場の返還・移設は日本の国内問題ではない。沖縄に重過ぎる基地負担を背負わせ続ける米国も紛れもない当事者である。解決の責任を負う米政府に沖縄から問いたい。

 鳩山首相が普天間飛行場の移設先としている名護市辺野古沿岸域は豊かな生態系が息づく。その海を埋め立てて軍事基地を造ることは、米本国ならば可能だろうか。かつて質問した米国務省、国防総省の担当者は「無理だ。米国内なら環境問題をクリアできない」ときっぱり答えていた。

 普天間飛行場が「世界一危険な基地」と称される理由に「クリアゾーン」がある。米軍機の離着陸の安全確保のために土地利用を禁じた区域に小学校など18の公共施設があり、約4千人が暮らす。

 米軍の基準に照らせば、普天間飛行場は即刻運用を停止しなければならない不適格基地となるが、住宅地域上空から攻撃ヘリコプターが急降下するなど、危険な訓練が臆面(おくめん)もなく続いている。住民への配慮が行き届く米本国や欧州の米軍基地とは対照的だ。

 米西海岸にある海兵隊基地キャンプ・ペンドルトンは普天間の103倍の広さがある。周辺の民間地上空を軍用機が飛ぶことは皆無だ。それでも「住民の理解を得ない限り、基地の維持は困難」として、いつ、どの部隊が、どんな訓練をするのかという詳細な情報を公開している。イタリアの基地では、夏場の昼寝の時間帯には一切米軍機が飛ばない。

 在日米軍基地の約74%が集中する県内では、日米地位協定の排他的管理権に阻まれ、目の前の基地での訓練内容を知るすべはなく、住民の不安を高める構図がある。米本国では運用できない基地を沖縄では平然と使い、新たに造らせようとする米国の振る舞いは、県民の命、沖縄の自然環境を軽視する二重基準そのものだ。





■敵意に囲まれた基地へ

 普天間飛行場の県内移設に反対する世論は総じて県民の7割超だ。4月25日の県民大会で示された「県内移設ノー」の民意は世代や主義主張を超えて後戻りできないほど高まり、沖縄社会の“通奏底音”として息づいている。

 その期待を裏切り、米国の強硬姿勢と実態が乏しい抑止力論に押し切られた鳩山首相が、辺野古移設を明言した今、在沖米軍基地は県民のぎりぎりの寛容的視線をも失い、敵意に囲まれた異物と化すことは避けられない。

 米国は「歓迎されない所に基地は置かない」(ラムズフェルド元国防長官)と言ってきた。住民の理解と支持を欠く新基地建設を強いることは、県民の尊厳を踏みにじり、米国がこだわる民主主義への信頼を著しく損なう。

 米国内でも沖縄の民意尊重を求める論が出てきた。オバマ米大統領の対日政策のブレーンで、沖縄での研究経験もあるシーラ・スミス氏(米外交問題評議会上級研究員)は、日米両政府は県外移設に舵(かじ)を切るべきだと提唱している。「これ以上日米同盟の負担を沖縄に押し付けてはならない」と指摘。「代替地は日本が単独で選択できるものではない」とし、米国が主体となった見直しを説く。米政府は真摯(しんし)に受け止めるべきだろう。

 日米安保の漂流を望まないのであれば、米国は沖縄の民意に耳を研ぎ澄ませ、普天間飛行場の国外・県外を決断すべきである。それが民主主義の王道だ。






琉球新報 社説

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# by exjwq9 | 2010-06-07 01:05  

安保の歪み 解消されない不公平 県民に「悔しい思い」

2010年5月30日 10時53分





 鳩山由紀夫首相が迷走したことで、日米同盟のいびつな姿がより鮮明にあぶり出された。

 結局、すべてがNIMBY(Not In My Backyard=ニンビー)である。自分の家の裏庭はやめてくれ、という考え方だ。多くの政治家が「安保は大事だ」と言うが、負担については口をつぐむ。

 「抑止力」「地理的優位性」という検証不可能な言葉を隠れみのにしながら、現状維持にしがみつこうとする。米国の戦略に従って沖縄に基地が集中している、と勝手に理解し沖縄の過重負担を容認する仕組みがある。

 日本は自らの安全保障の責任を負わない「ただ乗り」を米国から批判されることがある。国内では沖縄に多くを負わせている現状の中で、米軍施設のない多くの本土の地域は「ダブルのただ乗り」となる。このような不公平が許されるわけがない。

 日々の生活、経済活動の基盤として安全保障がある。戦後日本は米国に安保を委ね、国防を最低限に抑えながら高度経済成長を成し遂げ、今日の繁栄を築いた。それは沖縄の犠牲の上に成立した。

 27日の全国知事会では米軍基地を抱えていたり、在沖米軍の移転訓練を引き受けている地域が「すでに責任は果たしている」と主張するなど、鳩山首相が呼びかけた沖縄の負担軽減には非協力的な態度が目立った。

 「米兵の犯罪、不祥事が多く何の手当てもせず全国にばらまくのか」(大分県知事)「この時期に知事会を招集して全国に火の粉を分散するつもりか」(千葉県知事)。

 心ない言葉だ。沖縄ならいいのか。くやしく、むなしい気持ちになる。全国に存在する米軍専用施設の75%が国土面積の0・6%に集中する現状を固定化する差別的な構造が堅固にある。これが日米安保の実態なのだ。

 この国は自前の安全保障議論を怠ってきた。日米安保をめぐる論争が繰り返され、沖縄に負わせた過重負担の中身について十分な検証はなされなかった。

 沖縄にある基地の7割強を米海兵隊が使っている。普天間飛行場も海兵隊のヘリコプター基地であり、もっぱら基地問題の議論は海兵隊を沖縄に置く必然性があるかどうかとなる。

 実に単純なことだが、政治家、外交・防衛の官僚たち、大手マスコミもほとんど議論しない。政府は議論のベースになる情報を持ち得ていないのか、まったく開示しない。

 まず海兵隊の体制、任務、活動について「学べば学ぶほど」沖縄でなくてもいいことに気付く。いま現在、沖縄から1600人の海兵隊員がイラク、アフガンなど対テロ戦争に派遣されている。

 残る部隊はタイ、フィリピン、韓国、オーストラリアなど同盟国と共同訓練するために遠征している。6カ月のローテーションで米本国から派遣され、長崎県佐世保に配備されている強襲揚陸艦に乗船して巡回している。

 今年は2月にタイでの共同訓練があり、グアムで訓練した4月にかけて、普天間に残っていたヘリコプターはたったの2機しかいなかった(宜野湾市の目視調査)。

 この状況を知れば、「抑止」とか「地理的優位性」という言葉がまやかしであることが分かるはずだ。

 中東や中央アジアへ展開するなら米本国から直接派遣すればいい。船がある長崎を軸に沖縄までの距離で円を描くと、九州全域はもとより平野博文官房長官の大阪府、岡田克也外相の三重県、北沢俊美防衛相の長野県のいずれも移転地になり得る。元防衛大臣で自民党の石破茂氏の鳥取県あたりも北朝鮮をにらむにはナイスロケーションだ。

 鳩山首相の北海道もかつて有力な候補地として日米が検討した経緯が現にある。

 沖縄問題の「パンドラの箱」は開けられた。抑止力とか北朝鮮の脅威といった重しではもう閉じられない。






沖縄タイムス 社説

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# by exjwq9 | 2010-06-06 16:45  

窮地の民主党県連 どうする県出身3議員

2010年6月1日 09時25分








 よもやこんな苦境の中で参院選を迎えるとは思っていなかったに違いない。民主党県連のことである。

 共産党は、すでに県選挙区の独自候補を決め、社民党、社大党と共闘できないかを模索している。そんな状況の中で、民主党の存在感は希薄になるばかりだ。

 民主党県連代表で改選の喜納昌吉氏(比例区)は鳩山由紀夫首相と抱き合わせのポスターを作成しているが、逆風の中での厳しい選挙戦になりそうだ。

 民主党県連は、政権与党の強みを生かし、同党主導の下で統一候補を押し立てて参院選に勝利し、その勢いで知事選に臨むシナリオを描いていた。

 それが普天間問題でいっぺんに吹っ飛んでしまった。沖縄の民主党衆参3議員は、最後まで県内移設に反対してきたが、辺野古に回帰した鳩山政権に追い込まれた形だ。

 「最低でも県外」を掲げた鳩山代表の下で民主党は、衆院選の県内選挙区で初めて、玉城デニー氏、瑞慶覧長敏氏の2議席を獲得した。自民党議員は史上初めてゼロとなった。

 選挙戦向けに作成した「沖縄ビジョン2008」でも「県外移設を模索すべきであり、国外移転を目指す」と明記している。

 民主党の選挙公約が多くの県民に受け入れられたのである。

 民主党県連は政府が決めた辺野古移設案を党のどのような場で問題にしていくのか。目の前の参院選に政権与党としてどう対応していくのか。胸突き八丁に差し掛かっている。

 政治は結果、といわれる。選挙前にどんな立派なことを言ってもそれが実現できなければ逆に公約を破った責任が問われるのは当然である。

 今回の日米共同声明は、連立政権合意に反するどころか、民主党内の議論さえ行われた形跡がない。

 県選出の議員だけでなく、党内からも多くの異論が出ていることがそれを証明する。党と政府の関係も、党内もちぐはぐなのだ。

 鹿児島県選出の川内博史衆院議員らは、移設先を北マリアナ諸島のテニアン島とする「緊急声明」を、日米共同声明の前日に政府に提出している。

 沖縄の6人を含む民主、社民、無所属の衆参国会議員180人が名前を連ねている。日米合意の強引さを物語るものである。

 民主党県連は常任幹事会で、政府に閣議決定の変更と米国と再交渉し県外・国外を求めることを決めた。党内で県外・国外移設の声をどう届かせ、政府を動かすのか。3議員の真価が問われる。

 同調者をさらに広げる努力を全力で行ってもらいたい。

 県外・国外をこれまでずっと主張してきたことは分かる。ただ、党内ではこのような議論を正面から展開するような雰囲気はない。よほど腰を据えて取り組まない限り飲み込まれるだけだろう。

 沖縄の民主党議員としての存在理由が問われていることを忘れてはならない。






沖縄タイムス 社説

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# by exjwq9 | 2010-06-06 16:42  

小沢VS反小沢 不毛な争いに終止符を


2010年6月6日 09時55分






 民主党の権力構造が大きく変わろうとしている。一言で言えば、「小沢依存」から「脱小沢」への変化だ。

 明治維新が大政奉還だけでは終わらず、その後さまざまな制度改革が必要だったように、平成維新も、自民党から民主党への政権交代だけで終わったわけではない。

 鳩山政権の8カ月は、自民党政権時代の古い政治を随所に引きずっていた。政治とカネの問題はその典型だ。官僚政治からの脱却という基本政策も、改革に伴う混乱だけが目立ち、まだ十分な成果を上げていない。

 菅直人新首相の下で政権交代第2幕の改革をスタートさせるにあたって避けて通れないのが「小沢問題」である。

 鳩山由紀夫首相は、政治とカネの問題で小沢一郎幹事長をかばい続けてきた。首相が態度を変えたのは、党側から「参院選を戦えない」と辞任を求められたからだ。

 鳩山氏は「私も辞めるが、幹事長も身を引いていただきたい」と、面と向かって幹事長の辞任を求めた。道連れ辞任によるクリーンな民主党の再生―それが鳩山氏の最後のメッセージだった。

 菅新首相は、この呼びかけにこたえ、脱小沢路線を鮮明に打ち出した。代表選の立候補会見で小沢氏に対し、「しばらくは静かにしていただいたほうがいい」と明言したのだ。党内の権力構造の変化を示す発言だった。

 党役員人事、閣僚人事で脱小沢路線をどう具体化するのか。挙党体制を求める声をどう人事に反映させるのか。菅新首相は就任早々、重大な判断を迫られている。

 「政治とは何か」との問いに対し、ドイツの社会学者マックス・ウェーバーはこう答えている。「権力の分け前にあずかり、権力の配分関係に影響を及ぼそうとする努力である」

 政権獲得をめぐる政党間の激しい争いだけでなく、権力闘争は政党内部においても日々、熾(し)烈(れつ)だ。政権与党の場合、政策決定過程に直接かかわることができるだけに、なおさらである。

 自民党が長期単独政権を維持していた時代、総裁の座をめぐる党内の権力闘争は熾烈を極めた。田中角栄、福田赳夫両氏の、派閥ぐるみの権力闘争は語り草になっている。

 民主党内においては政権交代前から「小沢グループ」と「反小沢グループ」の対立が続いている。自民党の昔の派閥抗争と異なるのは、小沢氏個人をめぐって感情と政策がからみ合った陰気な対立が続いていることだ。

 党内で権力闘争をやるのは勝手だが、「小沢グループ」と「反小沢グループ」の争いはどう見ても生産的でない。国民不在の権力闘争によって、政策そのものがゆがめられてはいないか。それが心配だ。

 菅新首相の誕生は、不毛な争いに終止符を打つ絶好の機会である。

 両陣営の対立が拡大し、9月の民主党代表選に向け分裂含みの状況が生まれるのか。それとも政権交代が「新しい政治」を生み出すのか。民主党は大きな岐路に立っている。






沖縄タイムス 社説
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# by exjwq9 | 2010-06-06 16:38  

出口見えぬ消費不況 構造変化、対応策なく




 消費不況の深刻化と激しい値下げ競争で、小売業界の厳冬期が続いている。8月中間決算は、百貨店大手3社が大幅な減収減益で、イトーヨーカ堂やダイエーなど大手スーパーは営業赤字に陥った。9月の全国百貨店売上高も現行の統計では過去最大の下げ幅を記録、売り上げ減には歯止めがかかっていない。さらに、顧客囲い込みのための値下げ競争が小売り各社の収益を圧迫しており、苦境からの出口はまったく見えない。【宮崎泰宏】

 


◇行き着く先はタダ

 21日夕のダイエーいちかわコルトンプラザ店(千葉県市川市)。夕食の買い物客でにぎわう2階食品売り場と対照的に、3階衣料品売り場の客は数えるほどだが、衣料品売り場の担当者は「値段が下がったジーンズは50歳代にも客層が広がり、週に120~130本売れる」と話す。

 大手スーパーの共通課題は赤字続きの衣料品部門の立て直し。得意分野だった肌着や下着もユニクロなどに客が流れ、9月の全国スーパーの衣料品部門の売上高は前年同月比6・1%減。客足回復のきっかけにと、各社が春から投入したのが格安ジーンズだった。

 ユニクロの兄弟ブランド「ジーユー」の990円に対抗し、ダイエーやイオン、ヨーカ堂などが800~900円台のジーンズを投入。「目標の年間5万本完売は確実」(イトーヨーカ堂)と売れ行きは好調だが、「価格競争の行き着く先はタダにするしかない」(ユニクロを展開する柳井正ファーストリテイリング社長)というのが厳しい現実だ。

 ジーンズに続き、値下げ競争の舞台になっているのが紳士服。大手紳士服量販店だけでなく、スーパーでも西友が1着5000円、ダイエーが2着1万4800円という安価なスーツを販売し、低価格化に拍車をかける。

 ウール市況はここ数年低迷し、スーツの価格競争を続ける小売り各社の追い風になってきたが、「中国などがまとまった買いを入れ反転傾向にある」(丸紅)という。秋冬もの衣料やスーツなどに使われる豪州産ウールの市況は先週、シドニー市場で前週比2%弱の上昇に転じた。だが、価格競争が続く中、原材料費上昇の転嫁は難しく、ダイエー幹部は「利益なき消耗戦をさらに強いられかねない」とため息を漏らす。

 


◇落ち込み幅拡大も

 三越日本橋本店(前年比15・2%減)▽西武池袋本店(10・0%減)▽銀座松坂屋(29・9%減)▽日本橋高島屋(17・5%減)▽松屋銀座(14・8%減)。先週末、百貨店各社に届いた今月の21日までの店舗別売上高速報の実績値に業界幹部は衝撃を受けた。共通イベントなど百貨店に目を向けてもらう新たな取り組みを実施してはいるものの、落ち込み幅は広がっている。

 大丸や松坂屋を傘下に持つJ・フロントリテイリングの奥田務社長は13日の会見で「今の状況があと2年続いたら大変な状況になる」と危機感をあらわにした。「今回の不況で、日本の消費構造は完全に欧米型の『身の丈スタイル』に変わった。景気が回復しても、もう元の消費構造には戻らない」と強調する奥田社長だが、対応策は「頭を振り絞って考えているところだ」と明言できない状況だ。

 ◇値下げ競争には追随せず--高島屋・鈴木弘治社長に聞く
 高島屋の鈴木弘治社長は毎日新聞の取材に応じ、「(物価下落と実体経済の縮小が相互に働き合って進む)デフレスパイラルのようだ」と足元の消費環境を分析。「低価格化を追求するのではなくサービスを含めた品ぞろえを充実させ、顧客をつなぎ止めたい」と語り、大手スーパーによる値下げ競争などの動きには追随しない考えを示した。【聞き手・宮崎泰宏】

 --8月中間決算は百貨店各社が大幅な減益になりました。

 ◆リーマン・ショックから1年過ぎたが、個人消費はさらに悪くなっている。百貨店だけではない。大型スーパーでは商品単価が下がって売り上げが増えず、利益も出ないデフレスパイラルのような状況に陥っている。

 --百貨店離れが進む中、顧客をどう取り戻しますか。

 ◆百貨店は商品の間口が広く、豊富な品ぞろえができなければ存在価値がない。(売れ筋商品に絞る)「ユニクロ」のような専門店を目指したら自殺行為。取引先とともに品質を維持しながら価格を下げる努力は続けないといけないが、値段だけで勝負することはできない。あくまで品質と価格のバランスだ。

 --収益を確保するために、どういう手を打ちますか。

 ◆売り上げ確保の努力は当然だが、コスト削減を進めないといけない。人件費も広告宣伝も例外ではないが、売り上げ減につながっては元も子もない。経営資源の組み替えを相当クリエーティブにやらないといけない。

 --将来の百貨店像をどう考えますか。

 ◆一部で淘汰(とうた)は避けられないが、百貨店がなくなることはない。来店の動機を増やすこと。地方店では行政機関や病院と同居することも必要。都心店ではもっと輸入商品を増やしたり、催し物の魅力を高め、「大人の遊び場」にしないといけない。単に物を売るだけではなく、「健康」や「環境」に着目したサービスの充実も考えている。間口を広げて少量で品ぞろえすることが百貨店の特徴付けにつながっていく。





毎日新聞 2009年10月25日 東京朝刊

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# by exjwq9 | 2009-11-23 00:21  

エンターテイナーの死


▲ピーターパンが住むネバーランドの妖精は、この世で赤ちゃんがほほ笑むたびに生まれる。そして子供が「妖精なんかいない」というたびに死ぬという。その一方、ネバーランドには子供が一度息をするたびに大人が一人ずつ死ぬという言い伝えもある

▲ピーターをはじめ、親とはぐれ永遠に大人にならなくなった子供--ロストボーイの国であるネバーランドだ。突然の死が世界を驚かせたマイケル・ジャクソンさんは、かつて広大な私邸をネバーランドと名づけ、その住人を名乗っていた

▲「ピーターパンは自分の心にあっては特別の象徴だ。そこからイメージするのは、大人にならないこと、魔法、空を飛ぶこと--そういったものを何より大切なことだと感じている」。そんなふうに語っていたというスーパースターである

▲80年代、それまでのエンターテインメントのあらゆる境界を越える魔法によって「キング・オブ・ポップ」と呼ばれた彼だ。ジャンルを融合させた音楽、一目で人を魅了するダンスパフォーマンス、それをミュージックビデオという新しいメディアで世界中の人の心に届けた魔法だ

▲だが同じ魔法が、この世ならぬグロテスクな世界への扉を開いてしまったのも「大人にならないキング」の宿命に違いない。ネバーランドの建設や児童性的虐待疑惑をはじめ、もっぱら数々の奇行で人々の好奇の目を集め続けてきた近年だ

▲その急死は「妖精などいない」という大人たちのつぶやきのせいか、それとも永遠の子供たちのため息のせいなのか。死因はなお明らかではないが、地上のあらゆる壁を越えてみせた希代のエンターテイナーの天国での平安を祈る。


毎日新聞 2009年6月27日 0時04分
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# by exjwq9 | 2009-06-27 10:17  

足利事件 えん罪防止を徹底せよ

2009年06月06日 社説






 「間違ったではすまない。人生を返してもらいたい」

 17年半ぶりに自由の身となった菅家利和さん(62)は、釈放後の記者会見で、怒りに目を潤ませながら司法当局を厳しく批判した。

 なぜ、このようなことになってしまったのか。当時導入されたばかりのDNA鑑定に対する過信と、犯人でなければ犯行を認めるはずがないという安易な自白偏重捜査が背景にある。

 捜査当局も裁判所も、事ここに至る過程を丹念に検証し、問題点を明らかにしなければならない。市民参加の裁判員制度の下で、えん罪を生まないためにも、事件の徹底検証が不可欠だ。

 栃木県足利市で1990年、保育園に通う4歳の女児が殺害された。東京高検は、この事件で無期懲役が確定し、千葉刑務所に服役していた菅家さんの刑の執行を停止し、釈放した。

 再審請求を受けてDNA型を再鑑定したところ、菅家さんと女児の着衣に付着していた体液のDNA型が一致しなかったためだ。

 菅家さんは一審の途中から「虚偽の自白を迫られた」と犯行を否認した。だが、捜査段階の鑑定では、DNA型が一致していたため、一審の宇都宮地裁も二審の東京高裁も、自白とDNA鑑定を重視し、被告に無期懲役を言い渡した。最高裁もDNA鑑定の証拠能力を認め、上告を棄却した。

 どんでん返しが起きたのは、事件発生当時に比べ、DNA鑑定の精度が著しく向上したためである。

 DNA鑑定は結果として、有罪の決め手となり、釈放の決め手ともなった。

 旧式DNA鑑定の信頼性が揺らいでいる以上、旧式鑑定を採用した他の判決事例を洗い直し、再度検証する必要がある。実際、鑑定結果が裁判で証拠として採用されたケースは多い。

 米国では90年ごろから、有罪確定後のDNA鑑定で無実が相次いで発覚しているという。

 菅家さんは取り調べで「髪を引っ張られたり、け飛ばされたり、厳しく追及された」と語っている。

 「自白は最大の証拠」という考え方が自白重視の捜査手法を生み、その結果、安易に自白にもたれかかることはなかっただろうか。真犯人でなくても取り調べ次第では、自白することがあり得ることを忘れてはならない。

 えん罪防止のためにも、取り調べの可視化が必要だ。

 菅家さんは91年12月に逮捕され、45歳から62歳までの17年半、無期懲役囚として服役したことになる。父親も母親も、わが子の無罪の主張を見届けることなく、服役中に亡くなった。

 東京高裁は近く再審開始を決める見通しだ。無罪判決が言い渡される公算が大きい。

 再審が開始され無罪が確定した場合、刑事補償法に基づく補償金を請求することができる。だが、失われた時間の長さと、社会から真犯人と指弾され獄中生活を強いられてきた無惨な日々は、金銭であがなうことができない。




沖縄タイムス

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# by exjwq9 | 2009-06-13 11:51  

新型インフル 感染拡大に備える時だ

(5月10日)




 新型インフルエンザの感染者が、国内でも初めて確認された。懸念されていたことが現実になった。

 既に世界の約三十カ国・地域で感染が確認されている。日本での感染も時間の問題とされてきた。

 殊更あわてふためくことはない。事態を冷静に受け止め、感染防止に向けて政府、自治体も国民も警戒態勢を強めたい。

 感染が初めて確認されたのは、四月下旬から二週間、カナダ中部のオンタリオ州に短期留学し、八日午後に帰国した大阪府の男子高校生二人と引率の男子教諭の計三人だ。

 米国経由で成田空港に到着後、機内検疫などで感染が疑われ、その後の詳細検査で判明した。三人には発熱やせきなどの症状があるという。一刻も早い回復を祈りたい。

 気になるのは、高校生のうちの一人が機内検疫では症状がなく、機外に出た後に体調不良を訴えて感染が分かったことだ。

 この高校生の近くの席にいた乗客には二次感染の心配があるが、既に入国したり、第三国へ出国したりしている、とみられる。政府はこれらの人たちと連絡を取り、自宅待機を求める。当然の措置といえる。

 さらに、機内検疫をすり抜ける事態を防ぎ切れなかったのか、十分に検証する必要がある。

 他の乗客たちの体調確認も欠かせない。乗客の中には少なくとも六人の道内関係者がいるという。道もこの六人の健康チェックに万全を期してほしい。

 今回の確認とは別に、既にウイルスが国内に侵入している可能性を指摘する声もある。感染拡大を防ぐ取り組みがいっそう重要になる。

 行政には情報の速やかな公開を求めたい。国民が安心して日常生活を続けることに欠かせないのは正確な情報提供だ。

 感染の疑いのある人を診察する発熱外来の設置や治療薬「タミフル」などの配備は十分かも確認してほしい。ワクチン開発も急務だろう。

 企業は社員の感染などを想定した具体策づくりを急ぐ必要がある。

 私たちとしては、まずマスクの着用やうがいと手洗いの励行などで感染から身を守りたい。

 発熱やせき、だるさなどが現れた場合は、各地の保健所が設置している「発熱相談センター」に電話し、早期治療を心掛けてほしい。それが二次感染の防止にもつながる。

 幸い新型インフルエンザの毒性は今のところ、さほど強くなく、季節性のものと同程度とみられている。

 しかし、侮りは禁物だ。万全の態勢で新型インフルエンザとの闘いに臨みたい。



北海道新聞

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# by exjwq9 | 2009-05-10 19:18  

アフガン戦略 兵力よりも民生支援で

(5月10日)



 泥沼状態に陥っているアフガニスタン情勢をいかに安定に導くか。オバマ米政権にとってこれが当面の重要な外交課題である。

 政権発足から百日余。その行方を左右する包括的なアフガン新戦略が動きだした。

 柱はアフガン国軍の訓練のために米軍四千人を増派することだ。

 オバマ氏はすでに、アフガンへの一万七千人の増派を発表している。今回の追加派兵を加えると、駐留米軍は過去最大の六万人規模に拡大する見通しだ。

 さらに、農業や教育などの民生支援を目的とする数百人規模の専門官の派遣や隣国パキスタンに対する経済支援策が盛り込まれた。

 オバマ大統領はアフガン政策の見直し作業に、日本や欧州諸国に立案段階から参加するよう求めている。

 軍事作戦に重点を置いたブッシュ前政権に比べ、国際社会との連携強化と民生支援の重要性を打ち出したことは大きな路線転換と言えよう。

 懸念されるのは、民生支援を軌道に乗せるために、まず兵力の増強が優先されている点だ。

 確かに現地はイスラム原理主義勢力タリバンや国際テロ組織アルカイダが攻勢を強めている。国境を接したパキスタン国内にも支配地域を広げ、首都イスラマバードの北方約百キロにまで迫っている。

 オバマ大統領がアフガンのカルザイ、パキスタンのザルダリ両大統領を今月初めワシントンに招き、初会談したのは、両国の治安悪化に対する危機感の表れだろう。

 アフガンには現在、米国をはじめ北大西洋条約機構(NATO)の構成国を中心に三十九カ国が計約六万人を派兵している。

 各国ともタリバンとの戦闘で多くの犠牲を出している。現地の司令官の間では、事態打開にはもはや武力による解決は難しいとの認識が広がりつつある。

 NATO創設六十周年を記念した先の首脳会議で、オバマ氏は加盟国に増派を要請したが、主要国の反応は冷淡だった。背景にあるのは「第二のベトナム化」への強い危惧(きぐ)だ。

 欧州側が期待しているのは、オバマ氏のリーダーシップで兵力を段階的に削減し、対話による平和解決へと切り替えていく戦略だ。

 そのためには国際社会も支援態勢の再構築が迫られる。

 日本はアフガン支援国会議で、アフガン国内の警察官約八万人の半年分の給与一億四千万ドル(約百四十億円)を全額負担し、学校二百校を建設する方針を明らかにした。

 国際社会が取り組まねばならないのは、こうした人道支援への関与を一段と強めることだ。




北海道新聞

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# by exjwq9 | 2009-05-10 19:16  

米ファニーメイ:政府系住宅金融、1.9兆円追加支援を要請


◇1~3月、赤字2.3兆円

 【ワシントン共同】米政府系住宅金融大手の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)が8日発表した09年1~3月期決算は、純損失が231億6800万ドル(約2兆3000億円)だった。債務超過のため、監督機関の連邦住宅金融局(FHFA)は同日までに、財務省に190億ドル(約1兆9000億円)の追加支援を要請した。政府からの支援額は計342億ドルになった。




 赤字は08年10~12月期の252億2700万ドルから縮小したが、前年同期の21億8600万ドルから大幅に増加。住宅ローンの焦げ付き拡大で、信用関連費用が208億7200万ドルに膨らんだのが響いた。

 同社はサブプライム住宅ローン問題による経営悪化で、08年9月に連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)とともに政府管理下に置かれ、住宅差し押さえ防止など政府の対策を支えている。



毎日新聞 2009年5月9日 東京夕刊

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# by exjwq9 | 2009-05-10 19:12  

追加経済対策 必要性と効果の論議を

2009年04月11日 社説




 政府・与党は、深刻な経済危機に対応するための追加経済対策を正式に決めた。財源の裏付けとなる2009年度補正予算の財政支出は過去最大規模となる15兆4000億円、事業規模は総額56兆8000億円に達する。

 大型の財政出動で一段の財政悪化は必至だが、それを覚悟の上で、日本経済の底割れ回避を最優先したかたちだ。政府、与党として、経済危機を克服するためには手段を選ばない―という強いメッセージを込めたものといえる。

 その中では、省エネ家電購入にエコポイントで5%還元、環境対応車購入に最大25万円補助、学校への太陽光パネル設置などが目を引く。

 「環境」をキーワードに、自動車や電機という特定業界のみが恩恵を受けるかたちとなることには違和感もある。政策の主眼が業界支援にあるとすれば国民の理解を得るのは難しいだろう。

 日本の製造業を代表する両業界の経営悪化が雇用不安を一気に高めたことは確かで、両業界への支援策は、低迷する消費を刺激し、働く人たちの雇用の安定につながるものでなければならない。

 かつてない経済危機への対処を「錦の御旗」に、政府は前例のない大規模な財政出動をしようとしている。その財源は国民の税金であり、赤字国債の発行となれば将来世代の負担増に直結する。

 政府は、政策の目的と財源、各種対策を実施した場合の経済効果について国民に明確に説明すべきだ。

 雇用対策や中小企業の資金繰り支援など、経済の底割れを防ぐための緊急対策は重要であり、思い切った手を打つことの必要性は理解できる。だが、内需拡大、消費喚起を名目にすれば何でもあり、というものではない。

 腑に落ちないものの一つに住宅購入時の非課税枠拡大がある。景気対策というと毎回、住宅関連減税などの話が出るが、住宅は誰もが購入できるものではない。きょう、あすの生活に困窮する人々が急増している現状で、どれほどの効果が期待できるのか。

 「子育て応援特別手当」支給対象の拡大についても、子どもが小学生以上であったり、子どものいない家庭は対象外だ。国民に不公平感が高まる可能性もある。

 加えていえば、子育て手当は09年度のみ、住宅購入非課税枠拡大は10年末まで、介護従事者の給与上積みは当面3年間というように、時限措置ばかりが目立つのはなぜか。

 7月の東京都議選や半年以内にある衆院選を意識した得点稼ぎのような、うさんくささを感じる国民は少なくない。子育て支援や介護環境充実などが本当に必要な政策だというのであれば、与党の妥協の産物かのごとき印象を与える時限措置ではなく、むしろ恒久的に取り組むべきだ。

 麻生太郎政権は、08年度1次・2次補正、09年度本予算、今回の大型補正と次々に経済対策を繰り出している。景気刺激策の必要性は認めるが、だから何でもいいではなく、対策の必要性、実効性、費用対効果などを含めて、国会での徹底審議を求めたい。




沖縄タイムス

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# by exjwq9 | 2009-04-16 23:56